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『少女不十分』 著/西尾維新

2011.09.08 *Thu
少女不十分 (講談社ノベルス)少女不十分 (講談社ノベルス)
(2011/09/07)
西尾 維新

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 「先生の作品を、子供の頃からずっと愛読していました。こうしてお会いできて、とっても嬉しいです。これからよろしくお願いします。楽しいお話を、たくさん聞かせてくださいね」




 西尾維新の原点回帰にして新境地。
 十年目だからこそ書くことのできた、一つの物語。

 ラノベ的な軽い話を期待している人には辛いだろう。会話劇のような楽しい話を期待していたら肩透かしにあうだろう。しつこい語りに食傷な方もいるだろう。イラストに騙されて読むのを辞める人もいるだろう。

 しかし、これまでの西尾維新を読んできた方なら、必ず心をつかまされるだろうと思う。

 なんにしても、この物語を読んで文句の一つも出すことができず、ただただ言葉をなくして満たされた気分になっている自分は、どうしようもないほどに西尾維新のファンであり、西尾維新にぞっこんなんだろうと思う。









 そんなわけで、ネタバレありの感想を。









 自伝かと思いきや半自伝。どこまでが本当でどこまでが嘘なのか。
 さすがに事件そのものはウソにしても(少女にほいほい誘拐されるいい大人がいるとは思えない)、ここで語られた思想なんかはやっぱり西尾さん本人のものなんだろうなぁと思う。

 読んでいる最中の感覚としては、わくわくどきどきと言うよりも、ただただ静かに歩を勧める感じ。

 回りくどい言いまわしなんかはやっぱり西尾さんで、そういうところが面白かったりもするんだけど、けれど一番重要なのは誘拐劇の崩壊から。もっと言えば、この小説は、42章と44章のためにあると言っても過言じゃないだろう。

 道を外れた奴らでも、間違ってしまい、社会から脱落してしまった奴らでも、ちゃんと、いや、ちゃんとじゃないかもしれないけれど、そこそこ楽しく、面白おかしく生きていくことはできる。

 きみの人生はとっくに滅茶苦茶だけど……、まあ、何も幸せになっちゃいけないということはないんだよ。



 十年間。
 小説を書いてきて、デビューして、いろいろな話を紡ぎ、さまざまな物語を描き、それこそ多種多様なお伽噺を僕たち読者に語ってきたけれど、それらに共通するテーマというものはこれなんだよ、という作者自身の言葉。

 前置きで語られた、柿本という作家の物語を紡ぐ理由。

 この小説は、最初から最後まで、作者の自己解説であり、そして自己満足でしかないんだろう。
 けれどだからこそ、その理由が判明したときのカタルシスは素晴らしいと、僕は思う。



 まあぶっちゃけてしまうと、もう作中でこれ以上ないってくらい語られちゃっているから、考察する隙も解説する隙もないわけですが。
 ただ、十年間と言う期間を創作につぎ込んできたからこそ描けた話なんだろうと、静かに感じいるだけである。

 なんにしても、最後はハッピーエンドで〆たところが、ありきたりと言われようがよかったなぁと思うところです。



 あと、まあキャラ萌えの話になるんですけど。ってかキャラ萌えするところあったかとか言われそうですけど、いや、誘ちゃんマジ可愛いじゃん? 

 「ご、ごはん、を食べる前には……、いただきます、でしょう!」
 「この青くなっているところを押すと、痛い」
 「疲れた」

 この三つで死ぬほど悶えた変態さんです。うん、ヤンデレいいね。
 しかもそれがちゃんと成長しちゃうんだぜ。最高じゃないか。





 最後に。


 言葉だけを頼りにかろうじて生きている少年と世界を支配する青い髪の天才少女の物語

 妹を病的に愛する兄と物事の曖昧をどうしても許せない女子高生の物語

 知恵と勇気だけで世界を救おうとする小学生と成長と成熟を夢見る魔法少女の物語

 家族愛を重んじる殺人鬼と人殺しの魅力に惹きつけられるニット帽の物語

 死にかけの化物を助けてしまった偽善者と彼を愛してしまった吸血鬼の物語

 映画館に行くことを嫌う男と彼の十七番目の妹の物語

 隔絶された島で育てられた感情のない大男と恨みや怒りでその身を焼かれた感情まみれの小娘の物語

 挫折を知った格闘家と挫折を無視する格闘家の物語

 意に反して売れてしまった流行作家と求職中の姪っ子の物語

 奇妙に偏向した本読みと本屋に住む変わり者の物語

 何をしても失敗ばかりの請負人とそんな彼女に好んで振り回される刑事の物語

 意志だけになって生き続けるくのいちと彼女に見守られる頭領の物語




 戯言シリーズ。
 世界シリーズ。
 りすかシリーズ。
 人間シリーズ。
 物語シリーズ。
 ニンギョウがニンギョウ。
 刀語。
 蹴語。
 難民探偵。
 なことシリーズ。
 哀川潤の失敗シリーズ。
 真庭語。




 これから、西尾維新がどんな物語を描いてくれるのか。楽しみです。


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CATEGRY : 西尾維新

『ゴメンナサイ』 著/日高由香

2011.08.01 *Mon
ゴメンナサイ (双葉文庫)ゴメンナサイ (双葉文庫)
(2011/07/14)
日高 由香

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 ここまで読んでくれた皆さん、本当にありがとうございます。
 そして、ゴメンナサイ。






 いえーい。もはや更新しないことが当たり前な読書ブログ。月一の更新がやってきたぜ―。
 今回感想を書くのは、本屋で何となく見たあらすじにつられて買っちゃったこの作品。『ゴメンナサイ』もともとはケータイ小説らしいんですが、その形式を利用していたと考えたらこれはうまいなと言わざるを得ない。そんな作品でした。

 呪いは実在する。恐怖は伝染する。

 んー、といっても、呪いが怖いと言うよりは話の流れが面白かった、と個人的には感じた部類です。ってか、書籍体で読んでもホラー的要素は薄れるだけな気がしますね。まあその辺についても下で語るとしますか。







 ではでは、ここから先はネタバレありです。










 とりあえず、これがケータイ小説の形態で書かれた、というのが一番重要だと思います。
 書籍だと、流通の段階でかなり多くの人間がかかわりますから、地に足がついた安心感というものがありますが、ネットと言うのは誰が書いたのかわからない、という透明感があるので、特に怖く感じるんじゃないかと思います。ってか怖いだろ。こんな話がネットにポンと置かれてたら。
 だからこそ余計に思うんですけど、書籍で読んで怖くなかっただのホラー好きはこんなのを喜んで読んでいるなどと言うのはお門違いな気がします。いやいや、そりゃあ、フィクションだから書籍化されたんだし。ちゃんと作者がまともな人間だから書籍化にこぎつけたわけだし。
 それと、文章にしてもきれいにまとまっていると思うんですけれどね。少なくとも、登場人物の感情の流れは自然で、あまり作者の恣意的な働きかけ、と言う感じはしないですし。まあ、ちょっと記号的なところがあるとは思いますが(神代エリのキャラクターとか)

 何より自分が面白いと思ったのが、ちゃんと四つの短編ごとに山場の見せ方がうまいってことです。一章目の告白はもとより、二章目の呪いの真相と黒羽の本心の動き。そしてまったくの被害者である三章目以降。三章目の母親のもくろみと違う方に動いて悲劇に終わる、っていう終わり方はいい感じにスパイスが効いていたと思いますし、四章目のオチも救いを与えない感じで面白い。
 何より、三章と四章では、呪いが拡散しているところがいいと思います。この場合の呪いは小説のことじゃなくて、悪意や影響のことで、三章の陽菜も四章の裕子も、結局は人を殺す機能となっていて、呪いの一部と言えるんですよね。こういう話は珍しいわけじゃないですが、そこまでの流れを自然と見せていたところが面白かったなぁという感じです。
 ことさら怖い、って言うよりも、なんか飽きさせない感じで面白かったな、っていうのが個人的な感想です。

 ってか、これは確かに映像化したら面白いだろうなぁと思う。さてさて、映画はどうなることか。



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CATEGRY : 日高由香

『囮物語』 著/西尾維新

2011.07.01 *Fri
囮物語 (講談社BOX)囮物語 (講談社BOX)
(2011/06/29)
西尾 維新

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 誰かを好きになると言うのはとても素敵なことだと思います。
 それだけで生きていこうって気になって、それだけで元気になって、ふかふかのぽわぽわになるものだと思います。






 さて三ヶ月に一度の物語シリーズがやってきたぜ。
 今回のメインは、かつて蛇に憑かれた少女。作中において奇特で奇異な、徹頭徹尾被害者でいた少女。『暦お兄ちゃん』に思いを寄せる、いたいけな少女。
 千石撫子
 なでこメデューサ。

 前振りはあまり意味がないので単刀直入に。めっちゃおもしれぇぜ第二シーズンクライマックス。四作目にして100%首尾よく書かれたと言うだけのことはある出来栄え。伏線前振り重ねに重ね、ラスボス登場、囮物語。





 ここから先はネタバレありだよ、暦お兄ちゃん。







 とりあえず、読後の感想としてはやばかったの一言だわ。
 もうね、ただでさえ、普段本音隠しているキャラクターがエゴで行動するっていう展開大好きなのに、ここまでひっちゃかめっちゃかにされたら、興奮するしかないじゃねえですかい。

 これまでずっとネタ的に前振りだけされてきた撫子ラスボス説。キャラクター的に言えば、確かに『可愛い』『後輩』で『妹の』『友達』というポジションにいる、主人公に思いを寄せる女の子、というものなので、ネタにしやすかったのも確かなんだろうな、と思います。そのうえ、彼女は登場の時から言われていた、作中唯一の被害者で、庇護対象であるからこそ糾弾されるような立ち位置には絶対にならなかった。
 そうした、これまでの巻でネタにしてきた事柄に対してしっかりと向き合って、千石撫子という一人の少女のエゴを描ききったのが、今回のお話ということだろうなと思います。

 可愛いだけの女の子。
 大人しい子の誰もが善良であるわけじゃない、と言うのは当たり前の話ではありますけれど、実際それを実感するにはある程度その人との関係を埋めなければわからないことでもあります。特に撫子に関しては、化物語で描かれた『気弱な可愛い女の子』というキャラポジションを守りつつ、『決して真面目じゃない』っていうことが何度も強調されてきました。天然であることも演技とまでは言わずとも、どこかわざと現実に対して無頓着でいようとしていたのだということが今回で分かったことですし。

 加害者が被害者でないとは言えないように、被害者が加害者になることもある。

 僕なんかはもう被害者が加害者になる話って大好きでして、必死に溜めこんだ鬱憤が爆発する瞬間と言うのはそりゃもう素晴らしいものがあると思っています。
 それは、たった一つの恋だった。ずっと恋していられれば、それで良かった。『憧れのお兄ちゃん』に、『恋して』いられれば、それで、『良かった』
 月火に追及された撫子のエゴは、はっきり言ってかなり痛い思いでした。いや、だっておんなじこと自分も考えたことあるもん。恋愛って、必要以上にエネルギーがいるものだけど、その理由って、相手も生身の人間だからなんですよね。自分と同じように、相手にも自我があって感情があって気持ちがあって。自分が好きだからと言って、その好きが完全に相手と合同になることなんて、本当に奇跡が起きない限りありえなくて。だからこそ恋愛は面白いという見方もありますけれど、だからこそ恋愛は辛いとも言える。
 失恋は辛い。
 だから、たとえその恋がかなわなくても、恋し続けることができれば、失恋だけはしないですむ。

 テレビの中のアイドルに向けるような恋慕。漫画や小説のキャラクターに寄せる恋慕。二次元萌えが楽しいのは、そのまま月火がぶっちゃけたことが理由なんですよね。もちろんそれは分かってやっていることではあるけれど、こう改めて突っ込まれると痛いとこ突かれたなぁという感じです。ここまで嫌味なく正直に突っ込まれたら、反論のしようがねぇですし。

 けれど、そんな風に突っ込めるということは、それは月火が『強いから』に他ならないというのも事実としてあります。現実を生きて、現実の辛さにさらされてなお、『自分』を奮い立たせることができるような強さ。やっかみもありますけれど、そういうのってほんとすごいなと思います。僕自身が撫子と同じようにあまり現実と向き合うような強さを持っていないから余計にそうなんですが、月火の憤りも分かるし、それ以上に撫子の抱く『しんどい』っていう気持ちも痛いほどわかる。
 しんどいんです。人生って。
 人と適度にかかわり合って、ただなあなあに生きていけばそれで楽なのに、なぜか人生を送る上で誰かとの衝突は避けられない。それは敵対と言う意味だけじゃなくて、友人との関係にしたってそう。ちょっとした食い違いに歯がみして、イラついて、わかり合いたいのに分かり合えない。そんなことってしょっちゅうです。あと一歩踏み込めば分かり合えるのかもしれないけれど、それ以上傷つくのが嫌で面倒くさいから黙りこむ。処世術、と言えば聞こえはいいけれど、実際逃げてるだけ。逃げて逃げて、先送りにして。逃げるのは悪いことですけれど、逃げないで立ち向かうって、ほんとそれだけで強い力が必要なんです。
 けれど、手前勝手なことに逃げている間でも鬱憤だけはたまっているんですよね。無抵抗でいる人間が心まで無抵抗なわけがない。『出来ない』だけで『やれない』わけじゃない。たまりにたまった鬱憤はどこで晴らすのかは人それぞれですけれど、撫子の場合、そうした悪い感情は全部『暦お兄ちゃんへの恋』に向けることで処理していて、それがどうしようもなくなったから、今回の暴走が起きた。

 撫子がどうしようもなく可愛いところは、最後の選択がエゴなところだと思います。
 これが変に『暦お兄ちゃんへの愛』で更生したり、阿良々木くんを殺すことをためらったりするようだったら、彼女は結局のところ都合のいいキャラクターでしかなかった。けれど、最後に開き直った彼女は、ただ自分の好きなことをやろうとして、自分のために阿良々木くんを殺そうとした。自分のことしか考えていなくて、わが身だけが可愛くて、自分を可愛がるためだけに、行動する。それだけを見ると本当に最低最悪の悪女ですけれど、これまでの鬱憤の積み重ねと、千石撫子の中の『私』の感情を思うと、それがすごく愛おしくすら感じる。いや、まあ現実にこんな子がいたらドン引きですが、キャラクターとして、本当に『可愛い』女の子であるというのはブレなかったというのがすごいなと思います。『可愛い』は『いい子』の同義語じゃないし、『可愛い』は『邪悪』の対義語ではない。


 そんなわけで、いったん幕間。
 次回が臥煙伊豆湖事件(もうこう呼ぶしかないだろ)を消化して、最後の最後で決戦。分かりやすい『敵』をどういなすかわかりませんが、これで恋物語(ひたぎエンド)への前振りはなされました。よかったね、暦お兄ちゃん。
 まー、さすがにこの後に及んで予告詐欺とかしないだろー。うん、たぶん。



 あといくつか語ることあるな。

 撫子に関してもまだちょっと語り足りない感はあるんだけど、もう自分この話でますます撫子好きになっちまったぜ。とりあえず、教室での喝破のシーンは真剣にアニメで見たいと思ってしまった。いや、これたぶんそうとうカタルシスあると思うよ。あと最後の神社で待つ撫子とか。ってか、今回はほんとうにビジュアル的に映えるようなシーンが多かったと思う。ナレーションの痛々しさとかもあるしね。

 そして、今回めっちゃ目立ってた月火ちゃん。やばいなー、いい女すぎるなー。現実だとほんとつき合うのに力使うタイプの女の子だけど、だからこそ、もしうまく付き合えたら最高のパートナーになるだろうなと思う。羽川さんみたいな『正しい』子じゃなくて、悪いこともひっくるめたうえで自分を信じれいける強い子。阿良々木君があまり自分の考えを押し付けないタイプの主人公なので、月火の方がどちらかと言うと熱血主人公っぽい気がする。月火△
 月火に撫子が追求されるところはホント物語シリーズの中でもかなり好きなシーンになるかもしれない。精神的凌辱に近い情感があるんだけど、あれのおかげで撫子の中の見て見ぬふりしてきた深奥が暴かれたわけですしね。ってか、月火くらいはっきりいう女の子ってやっぱり魅力的だと思う。もちろん現実で付き合おうとするとすっごい傷つくと思うけど、それだけに腹を割った関係が築けるだろうし。そんな彼女を籠絡した蠟燭沢くんってほんとどんだけ出来た人間なんだ……。

 あとはまあ忍野扇か。ぶっちゃけラスボスって言うんならこいつこそがラスボスなんじゃねーかと思ってしまうけどな。まあ、撫子は自業自得の気があるから扇が何もしなくても何かしら問題起こしたと思うけれど、それにしても余計なことしやがってという感じはしないでもない。つか、今回また女の子になってるし。
 しかし、新学期の次点で当たり前のように駿河の前に現れてたりしたし、こいつはやっぱり問題を起こすとかそういうタイプの相手じゃないんだろうな。



 そんなわけで、個人的に大ブレイクな、撫子が可愛い物語でした。
 決着は半年後。お楽しみに。
 ……ってかあれ? これ作中時間11月じゃなかったっけ? だったら卒業式ってよんかげ(ryうわなにするやめ

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CATEGRY : 西尾維新

『ディアティア』 作/かずまこを

2011.06.03 *Fri
ディアティアディアティア
(2011/05/31)
かずま こを

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 「恥ずかしいから嫌です」




 ひゃっほー。もはや漫画くらいしか更新していないダメブログ。でもそんなの関係ねぇ!(古い)

 さて。今回紹介&感想を書くのは、かずまこをさんで『ディアティア』

 『愛しく、切なく、初々しいふたりの初恋物語』と題打たれているこの作品。内容を簡単に説明すると、

 もてるんだけどとある理由で誰とも付き合おうとしない成田秋人と、親友が振られたのが納得いかないと突っかかってくる桐ヶ谷睦子。女の子の涙が苦手だった成田は、桐ヶ谷の意志の強い視線に次第に惹かれていく。一方、初めは納得のために成田に近づいた桐ヶ谷も、次第に成田に惹かれていき――


 恋愛系を扱う漫画で重要なのは泣き顔だと個人的に思っているのですが、もうこの作品ってば十二分にそれを扱ってくれちゃっています。しかも、うつむいて泣くんじゃなくて、正面を向いてのアングルが多いことに驚き。一巻という短い中で信条の動きをぶれずに描いているところが素晴らしいと思います。





 さてさて。ここからはネタバレも込みで。






 桐ヶ谷が可愛すぎてつらい。

 いや、とりあえず一話を読んだ段階で「うわ、やばいわ自分」とか思うくらいに桐ヶ谷に入れ込んじゃったわけですが、成田の回想の中での桐ヶ谷の意志の強い瞳と、そのあとに明かされる水道での出来事がもう僕の心を揺さぶる貫く。成田にかけられたなんてことない一言がその強い意志を切り崩して思わず涙をこぼさせるとか、もうどんだけたらしなんだよ成田! そして気を張っているけれどガードが地味に甘い桐ヶ谷が可愛すぎるやばい。
 だがしかし、そんなところはまだまだ前菜なのだ。前菜どころかお皿の模様のようなものなのだ。我ながら何言ってるかわからんがそういうものなのだ。本番はその直後に待っている一話のクライマックスである。
 成田の何気ない一言に、軽くショックを受けた後に本音を出しちゃって、泣いちゃっているところ見られたくないのにひきとめられたときの言葉が。

 「なんで、ひどい。泣いてるってわかったくせに! 泣いたら嫌いになるくせに!」

 ああ、その前の「…どんな人が好きなの、って」の台詞ですでにゲイボルクでもくらったような気分になっていたのに、続けてこの言葉である。もはやゴッドハンドでも追いつかないレベルに悩殺されました。
 前から言っていることですが、僕はこういう、かくしている本音がさらされる瞬間がすげー好きなんですよ。こういうのって疑似的なエロさがあると思うんですよね。官能的じゃないプラトニックな要素ではありますが、特に虚勢を張って気持ちを落ち着けている奴が、思わず本音を出しちゃったりするとか、もう……死ぬしかないじゃない!


 ってか一話の段階でこれである。なんというか感じ入りすぎだろ俺キメェな感じになっているけれどマジでこんな感じだったからシャレにならん。表紙と同じシーンが来たときなんかもういろいろ来すぎて魂抜けるかと思った

 いやお前この調子で最終話まで語るつもりか? とか思われているかもしれませんが、語っていいなら語ってもいいですよ? ただしその頃にはあんたは嫌気がさしているだろうがな。

 とりあえず語る分だけ語ることにしますが、もう成田に振られた二人がまたいい子なんよ! 美佳先輩とか振られた後だってのにあんだけ気丈に振る舞って、自分の悪かったところとかちゃんと受け止めて、それで割り切ろうとしているんだけど割りきれなくて成田の一言で思わず泣いちゃったり! そして鈴音にしても、自分のコンプレックスから告白できなくて、親友の桐ヶ谷が成田に近づいているのを知ってちょっと嫉妬しちゃったりしてそんな自分に嫌気がさしているところなんかもう!! そんでもって「私、先輩のことが好きなんですっ……」って泣きながら思いを伝えるとかもうもうもうッ!!!

 おのれらはそんなに俺を悶死させたいのか。

 そしてまた三話のラストで桐ヶ谷の感情がはっきりと動いたのが素晴らしい。それはほんの些細な心のとげのようなもので、けど確かな心情の変化。そんなわかりきった感情の正体に気付かないとかああもう桐ケ谷可愛いなチクショウ。

 しかしまあさんざヒロインのこと語っといてなんだが、話としては成田の成長も素晴らしいわけでして。そもそも一話が彼にとっては一番の転換だったわけだけど、女の涙が苦手で、正面から向かい合うことができなかった彼が、桐ヶ谷の涙をぬぐったことでそのトラウマを克服して、なおかつそれから二人もの女の子の涙を直視するわけですよ。自分がふった女の涙を。いやもうそれどんな拷問だよと思うような漢字だけど、それをちゃんと受け止めたからこそ、彼が四話のラストで自分の気持ちを形にできたわけで。
 あのカラー二ページは卑怯だよなーほんと。やべぇよあの空気。絶妙すぎんぜ間が。ついに行ったああああああああああああああああああって思わず心の中で叫びつつ、もう逝ったああああああああああああああって感じでしたね。成田がんばったぜ。持てる癖にそういう恋愛ベタなところ好きだぜ!

 そし手最終話は桐ヶ谷の心の整理。もうこん時の美佳先輩と鈴音がマジでいい子すぎる。何もかも見通したような美佳先輩の「私にそんな風に言わなくちゃいけないことがあったの?」って台詞にゾクっと鳥肌立って、引っ込み思案な鈴音が桐ヶ谷から聞き出したことに怒って怒鳴るところはマジでよすぎた。もう王道も王道でわかりきった展開なのにそれがあまりにもきれいに描かれているもんで、もう西織さんのライフはダイレクトアタック食らいまくりですよ。もうやめて僕のライフはもう〇よ!

 だってのに、往来で告白合戦とかよおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!

 萌え死ぬかと思った。



 しかし、本編でこれだけ盛り上がれたんだから、もう後日談とかニヤニヤして終わりのほのぼのだろうなーくらいの感覚で見たわけですが。


 マイディア1
 「やっぱりそのうちキスとかもしたいです」

 
 マイディア2
    ち  だッ  バタバタバタバタバタ ……… ガラガラガラ

 「秋人先輩。来ましたよ」



97d71cdd.gif


 ベッドの上で三回転半くらいしながら今日はここまで。

 ……そしてとあるサイトさんのパクリな終わりで申し訳ないです。
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CATEGRY : 漫画日記

『ナナマル サンバツ』 作/杉基イクラ

2011.05.01 *Sun
ナナマル サンバツ (1) (角川コミックス・エース 245-4)ナナマル サンバツ (1) (角川コミックス・エース 245-4)
(2011/05/02)
杉基 イクラ

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 「ぜ、絶対領域!!」




 はろーえぶりばでぃー。もう最近は真剣に小説を読んでいない西織さんですよー。
 ちゅうわけで漫画の紹介。



 杉基イクラさんで『ナナマルサンバツ』


 サマーウォーズのコミカライズを担当したりした杉基さんですが、オリジナルもなかなかいい味出しています。競技クイズをテーマにした学園部活もの。なんのとりえもなく、ただ一人で黙々と本を読むことで蓄えた知識だけが飛びぬけている主人公越山識が、入学した高校でクイズ研究会の存在を知ってクイズにハマって行く物語。

 素晴らしいのがクイズの臨場感とスピード感を絵でかなり見せてくれること。実際どれほどすごいのかって言うのは体験したことがないのでわかりませんが、すくなくともこの漫画だけ見ても随分な迫力を感じさせてくれます。越山君が一番初めに正解叩き込むところが最高。


 いやもう、連載の時から目をつけていたので、単行本化ということでテンションただ上がりでございます。こう、クイズそのものはマニアックなのもあったりしてわかんねーけど、緊張感はいい感じで伝わってくるから面白い。


 あと、ヒロインが残念な子可愛い。深見さんパンツ可愛い。発言がいちいちエロい。発言がいちいち残念。だけどそれがいい。この物語は彼女という花がいるおかげでもう素晴らしいラブコメになっております。まあ本人ラブっ気ゼロですが。


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CATEGRY : 漫画日記

プロフィール

西織

Author:西織
大学に入学を果たしたただの読書好き。

拍手がえしに関してはこちらでご覧ください。
http://blogvote.fc2.com/pickup/emptyreader


年齢:19
誕生日:九月九日
血液型:A型
趣味:読書
夢:作家(前途多難)


主に好きな作家
・西尾維新(番外位)

・奈須きのこ
・辻村深月
・佐藤友哉
・竹宮ゆゆこ

上記の作家の全ての作品を愛しています。

主に好きな漫画家
・児玉樹
・荒井チェリー
・椿いづみ
・福本伸行

漫画の神
・手塚治虫


補足
西尾維新の傑作はきみぼくシリーズだと思って日々を生きています。あのよさをわからない人間が多くて残念に思う。(とくに四作目)
そんな僕は生粋の西尾信者なので、いくらでも語れますし、いくらでも語りつくしてやりますよ。


『空っぽの知識』の別館ですが、よろしくお願いします。
http://tukimaturi.blog89.fc2.com/

初めての方は、カテゴリ内の『未分類』を先に読んでください。



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