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『アルジャーノンに花束を』 著/ダニエル・キイス 訳/小尾蓉佐  感想

2009.12.17 *Thu
アルジャーノンに花束を (ダニエル・キイス文庫)アルジャーノンに花束を (ダニエル・キイス文庫)
(1999/10)
ダニエル キイス

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 「でもぼくは生命のない物体ではありません
  ぼくは人間です」





 どうしてこれほどまでの傑作を、今まで読まなかったのか……。

 実は読み始めたのは夏ごろの話でして、その時は友人から借りて読んでいたんですけれど、半分ほど読み進めた段階で、「これは自分で買わなきゃいけない!」と思いまして。結果的に、購入ができたのは10月ごろで、そのあと昨日まで完全に放置しておりました。
 しかし、いったん読み始めると止まらず、本当にあっという間に読み終わりました。

 これは、本当に一度は読んでおいて損はない名作だと思います。ぜったいに、いろんなことを考える。できれば中高生時代に読みたかった。







 ここから先の文章は、もう何度も書き直しているのですが、それはやっぱり自分でもうまく噛み砕けていないからなのかもしれません。本当に、自分の読解力と文章力がうらめしくなりますね。

 それでよければどうぞ。











 よくこの本の感想で、『泣ける』ということを聞いていたのですが、読み終わったときに自分が感じたのは、無常感に似たせつなさでした。
 どうにもうまくいかないもどかしさ。そして手に入れたものと失ったものを比べてしまうさみしさ。そういった感情がないまぜになって、せつないなぁ、と思ってしまいました。




 結局、幸せなんてものは、一概に言い表すことができないってことなんでしょう。無知である時のチャーリイが幸せとも言い切れないし、天才の時のチャーリイが幸せとも言い切れはしない。知恵があるからこそわかる不幸があるし、無知だからこそわかる幸せがある。大切なのは、その両方を、しっかりと作者が描いているところだと思います。
 作者は、どっちがいいとは言っていないんですよね。だからこそ、この作品は考えさせられます。天才の時に持っていたものと、無知の時に持っていたもの。その両方を持つことはできない。片方は必ず落としてしまう。そのもどかしさが、とてもせつないのです。



 また、知恵をつけて、いろんなことを知ったチャーリイは、過去の自分に悩まされて、今の自分と過去の自分を違う存在のように感じます。そう、読者も思わされます。知識があることで、感性が全く違うようになってしまった自分を、別の他人のように思ってしまう。根底は一緒であると思いこもうとしながらも、それを信じることができない自分がいる。その思いが、余計に過去の自分へのコンプレックスを募らせてしまい、また過去の自分と今の自分を別のものと感じてしまう。

 けれど、根底にあるものは変わらないのだということが証明されるのが、最後の一文です。自分とともに生きてきた友達であるアルジャーノンのお墓に花束を添えてほしいという言葉。それは、天才であったころのチャーリイがずっとやってきたことであり、そして知恵遅れに戻ってしまっても残っていた気持ち。知恵をつけたことでまったく別人になってしまったと思っていたチャーリイですが、それでも同じ感性を持った人間であることに変わりがないとわかった瞬間。それがわかってそこを読むと、余計に寂寥感を覚えます。

 引用文に、どの文章をあげようかと悩んだ末に、あれを選んだのはそのためでもあります。たとえどんな状態であっても、チャーリイがチャーリイであることに変わりはない。得たものと失ったものが人を変えるというのは、表面だけの問題で、一番深いところは変わることがないのだと。それ自体は作中でもチャーリイが必死に訴えていることでもありますが、それがしっかりとわかるのが、最後の行き着いてしまったところというのが、またさみしいです。


 この作品は、読み返すとまた感想が変わるだろうなぁ。とりあえず、詳細を忘れたころにまた読み返したいです。


 しかし、多分ここで語りたかったころの半分も言い表せてない気がする……。読み終わった直後だからかもしれませんが、単に自分の実力不足だよなぁ。もっと精進します。

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西織

Author:西織
大学に入学を果たしたただの読書好き。

拍手がえしに関してはこちらでご覧ください。
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年齢:19
誕生日:九月九日
血液型:A型
趣味:読書
夢:作家(前途多難)


主に好きな作家
・西尾維新(番外位)

・奈須きのこ
・辻村深月
・佐藤友哉
・竹宮ゆゆこ

上記の作家の全ての作品を愛しています。

主に好きな漫画家
・児玉樹
・荒井チェリー
・椿いづみ
・福本伸行

漫画の神
・手塚治虫


補足
西尾維新の傑作はきみぼくシリーズだと思って日々を生きています。あのよさをわからない人間が多くて残念に思う。(とくに四作目)
そんな僕は生粋の西尾信者なので、いくらでも語れますし、いくらでも語りつくしてやりますよ。


『空っぽの知識』の別館ですが、よろしくお願いします。
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