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『難民探偵』 著/西尾維新  感想

2009.12.13 *Sun
難民探偵難民探偵
(2009/12/11)
西尾 維新

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 人生を甘く見ていた。




 講談社100周年記念書き下ろし。
 西尾維新が書く、ひさしぶりの推理小説。
 単行本と言うことで、まあ値段はそれなりにしますが、なんか最近ハードカバー買うことが多くなったので、別に普通じゃね?と思ってしまう自分がいる……。まあ、ページ数もかなり多いので割に合うっちゃ合うんですが、これでも数年前からすると紙の値段上がってんだよな……。

 ま、そんなことは置いておいて、読みましたよ。
 ああ、もう。西尾先生は本当にすごいや。
 自分なんか信者の視点があるからまっとうな評価はできないかもしれないけれど、こういうのを書けるってのは、やっぱり作家としての実力がちゃんとあるんだと思います。これまでラノベ的なノリが多かった西尾さんですが、ちゃんと現実味のある話も書けるじゃないですか。







 まあ、あんまり序盤に語りすぎるとぽろりとネタバレしそうですし、ここから下はネタバレありということで、読んでいない人は避難してください。










 とりあえず、何が言いたいかと言うと、西尾維新がこれまであえて書いてこなかった、『現実的な視点』を描いてきたことですよ。
 もちろん、小説ですから、いろいろとご都合主義的な展開はありますが、それでもこれまでの彼の作風からすればおとなしい方。探偵は奇天烈な能力を持っているわけじゃないですし、主人公は変なキャラ性を持っているわけじゃない。登場人物のネーミングも、一般から見れば少しずれてはいますが、それでもわからなくはないレベル。あくまで常識的な範囲内でキャラを立たせるという、これまでとは少し違った書き方でした。
 それは作品内でも、作家の窓居京樹の口を借りて言われていることです。「世の中は飄々としてつかみどころがないという、スカした親父の存在を許してはくれないんです」。そのライトノベル風なキャラクターを通して物語を紡いできた西尾維新が、こうしてその枠を越えてきた。今までも、作中でのことを作中でネタに挙げることはありましたが、これはまた種類が違うと思います。

 また、着眼するポイントが今までとかなり違う。就職浪人という主人公の特徴を序盤で嫌というほど語っているのは、窓居証子というキャラクターを特徴つける要素として使っているのでしょうが、その地味に生々しい話が、嫌に現実を見させてくれます。まさかそんなに都合良く就職できないなんてことはないだろう、と思ってしまいそうにもなりますが、しかし現在の就職難を思うと、断言できないところがあります。ってか、これ読んでリアルに落ち込みそうになる人間、絶対いるでしょう。僕がそうでしたから。
 いや、本当に、よくこういうの書けたなとすら思いました。だいたい西尾さんは、証子よりもむしろ京樹に近い立場のはずなのに、よくもここまで就職活動の苦しみを……まあ、フィクションですし、また証子の立場はかなり極端でもあるので、わからないでもないんですが。こういう大人な視点もしっかりと持っていらっしゃったんだ、と改めて尊敬する次第です。(何気に失礼な僕)



 内容にしても、これまでのきみぼくシリーズや戯言シリーズでやってきたような派手なものではなく、本当に堅実な謎解きといった感じで、本当にうまいなぁと思わされます。まあ、ノリ的にはきみぼくに似ていますが、あのシリーズはどっちかというと話の流れで犯人が浮かび上がってくる感じだったですが、こっちはちゃんと一つ一つの可能性を探っていく形です。(近いのはあれだ。トリプルプレイ助悪郎だ)
 欲を言えばあと一人くらい容疑者いたら面白かったかなとも思うのですが、それをやると複雑化してもっとページ数も増えたでしょうし、やっぱり二人のうちのどちらか、という形が物語的には奇麗なのかもしれません。
 決め手となった証子のあの証言も、確認してみるとちゃんと描写されていますしね。正直気軽に読み飛ばしていた自分が悔しいくらいです。しかし、ああいう盲点的なところから事件を解決させるってのは基本ですし、だまされた身としては素直に見事というしかないですね。




 ま、そんなところで、冷静な感想は終わりです。

 こっからは、キャラクターについて。っつか、証子について。



 何この24。無茶苦茶可愛いんだけど。
 プライドの高さを考えても、一つ一つの行動が妙にツボをつきます。うわぁ、なんだこの箱入り娘。駄目な自分を自覚しつつも矯正できないところとか、ツンデレ的な萌えポイントじゃないですか?
 もう最初の独白部分でかなり感情移入しちゃったんですけど、そのあとの京樹との同居生活から一転して『いいキャラしてんな』と思い始めました。京樹のことを「叔父様」と呼んじゃうところとか、電話でとっさに偽名名乗っちゃうところとか、最終面接の日取り間違えて落ち込んで庭の掃除するところとか、もうやることなすこと可愛すぎンだろお前!! そして挙句の果てに流されるに流されて根深さんのお手伝いしちゃってるし。本人気付いていないけど、そういう浮世離れしたところが就職できない理由じゃないのか?
 描写が冷静なせいで常識人に見えがちだけど、冷静に考えたらこいつ無茶苦茶面白いキャラだよな……。さすが西尾さん。普通のキャラの方がおかしいとか。

 もう、この本読んで何が一番印象に残ったかっていうと証子だよなぁ。なんか数年後の自分見ているようで感情移入しちゃったってのもあるけれど、そのキャラクターが好き。最終的に半年経っちゃいそうなところもナイスだよなぁ。



 あと、京樹は正直登場する割合が少なかったからそれほどでもないけれど、根深さんについてはやっぱり印象に残りました。
 難民探偵の彼ですけど、その境遇が楽しいナァ。現実じゃ絶対にあり得ないことだけれど、元が飄々としたキャラを装っているだけに、暴かれていく正体がとんでもないのになんか現実を知らされている感じがする。職業が警視だったってのはまだいいとしても、妻子がいるのは笑ったわ。
 正直彼についてはまだ語りきっていないところもあるみたいですし、続編があるんなら書いてほしいなぁ。これなら編に世界観広げなくても楽しくやれそうですし。……まあ、西尾さん的に、あまり続編書かせると変な世界観作っちゃうからほどほどにしてもらいたいところでもありますが。






 そんなわけで、今年も終わりそうなところで、西尾維新の今年一番を見せてもらいました。正直今年の仕事の中で一番いい仕事していると思います。ごちそうさまでした。
 ああ、もう。これだから西尾維新はやめられないんだ。

 今後もこういう方向性の作品を定期的に書いてほしいものです。個人的に期待するのは、きみぼくの2巻と4巻みたいな話を、ラノベ的要素排除して書いてほしいってところですかね。今回は良くも悪くも現実的を目指して書いたみたいなので、始めと終わりで何かが変わることはなかったですが、今度は主人公の成長か停滞を描いてほしいなぁ。



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TRACKBACK : 1
CATEGRY : 西尾維新

COMMENT

私もやっと難民探偵読みきりました…!

西織さんのおっしゃるように、現実的な話だなと思いました。
勿論、平凡でつまらない訳ではなく、驚かせるところは物凄く驚きましたが(^ω^)

改めて考えると証子ちゃん萌えますねww
さらっと流していました…

同じ本の感想を書くので、トラックバックさせていただきます。上手くできるか心配ですが…

2010/03/31(水) 20:09:33 | URL | 雨夜 #qbIq4rIg [Edit
ミステリ的な解決編が少しあっさりしすぎな勘もありましたけれど、新鮮な西尾維新と言う意味では面白い作品でしたよねー。
なんか続編も書く予定みたいなので、根深さんのこととか証子ちゃんの今後とか、楽しみ楽しみ。

感想読ませてもらいますねー。
2010/03/31(水) 22:36:07 | URL | 西織 #FyNxMScs [Edit

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プロフィール

西織

Author:西織
大学に入学を果たしたただの読書好き。

拍手がえしに関してはこちらでご覧ください。
http://blogvote.fc2.com/pickup/emptyreader


年齢:19
誕生日:九月九日
血液型:A型
趣味:読書
夢:作家(前途多難)


主に好きな作家
・西尾維新(番外位)

・奈須きのこ
・辻村深月
・佐藤友哉
・竹宮ゆゆこ

上記の作家の全ての作品を愛しています。

主に好きな漫画家
・児玉樹
・荒井チェリー
・椿いづみ
・福本伸行

漫画の神
・手塚治虫


補足
西尾維新の傑作はきみぼくシリーズだと思って日々を生きています。あのよさをわからない人間が多くて残念に思う。(とくに四作目)
そんな僕は生粋の西尾信者なので、いくらでも語れますし、いくらでも語りつくしてやりますよ。


『空っぽの知識』の別館ですが、よろしくお願いします。
http://tukimaturi.blog89.fc2.com/

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