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『インシテミル』 著/米澤穂信  感想

2009.09.10 *Thu
インシテミルインシテミル
(2007/08)
米澤 穂信

商品詳細を見る



 結城理久彦は、車が欲しくて応募した。



 何この表紙詐欺。
 というわけで、米澤穂信版クローズドサークル。バトロワじゃないよ、あくまでミステリだよ、な物語。

 面白かったです。こういう系統の作品は、ありふれている分作者の力量がまっすぐに問われるのですが、そこはさすが米澤穂信。エンタメとしての面白さも忘れず、それでいてミステリにおける最低限を保っていると思います。
 ただ、本格好きの人はそこまで面白くないかも。僕みたいなライトミステリ好きは気軽に読めて「おもしれー」と言えるんですが、ミステリとして凝っているかといえばそこまでひどく凝っているとは思えませんし。まあ、気軽に楽しむ分には十分面白かったです。っていうか、一気読み推奨。これは時間をおくともったいない。






 そんなわけで、こッから下はネタばれあり注意。







 話の内容の方は、いい感じにライトミステリーだったと思いますけど、所々でミステリーを皮肉っているところも面白かったです。まあ、物語の都合上、登場人物たちがミステリーっぽい行動を起こすのは仕方ないのでスルーすべきですが、たとえば渕さんみたいに論理的解決が通用しない相手がいる、というのを出してきたのは面白かった。極限状態で、人間がどうなるかなんてその時にならないとわからないんだから、できることは想像することだけだけれど、ああいう反応をとるのがほとんどだろうなぁ、と思ったりします。
 あと、凶器のメモ書きに注意を払わなかったり、とかも、ミステリに精通していたり、少しでもかじったことがあれば気になるかもしれませんが、ぶっちゃけそんなん気にしている余裕ないですもんね。まあ、そこの穴をついたからこそああいうトリックが完成されるんですが。


 登場人物について。

 主人公のキャラは、いい感じにひょうひょうとしていて、それでいて危機感がゼロでないところがよかったなぁ、と思います。これで自分が殺されることを考えていなかったら問題ですが、そういう恐怖もちゃんと描いてくれましたし。
 そして、解決編でのノリは、身の程をわきまえているけれど、自分の身の丈に合ったところは強引に行くところがかっこいい。そして、そういう立ち位置を貫いているからこそ、最後にああいう選択ができるんですよね。しかし、もったいないなぁ、五千万近く。

 須和名さんに関しては、結局最後のあのためだけの装置だったのか……。なんだかんだで、彼女の最後の評価の所為で、この物語で用意されたものが全部低レベルと切って捨てられているのが面白かった。そういうところ、米澤さんも本格というほどではないと理解してやっているんじゃないかと思えます。……これ、続編があるとしたら。自分でハードル上げているだけではあるけれど。

 関水に関しては、正直結構いいキャラしていただけに、犯人だとわかってちょっと衝撃でした。しかし、肝っ玉大きいなこいつ。いくら覚悟してきていると言っても、一日目の段階でお金の計算から凶器のことまでやりきったんだから。結局彼女がどうしてお金を欲していたのかは不明でしたが、ある意味語らぬが花だろうなぁ、とも思います。語らせるつもりなら、最初からもっと伏線張っただろうし。

 安東に関しては、いろいろすごく残念。自尊心ばっかり強くてギリギリのところでそんな風に崩れ落ちるなんて。始まりの動機と終わりの姿があまりにも憐れすぎて……。結構いいキャラしていたんだけどなー。


 しかし、最初はだれがだれか判別するの大変だったけれど、ちゃんと登場人物に個性をつけてくれたのと、自己紹介のページをひとつにまとめてくれたおかげで案外早く把握できた。そういうところも、うまいなぁ、と思った作品でした。


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プロフィール

西織

Author:西織
大学に入学を果たしたただの読書好き。

拍手がえしに関してはこちらでご覧ください。
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年齢:19
誕生日:九月九日
血液型:A型
趣味:読書
夢:作家(前途多難)


主に好きな作家
・西尾維新(番外位)

・奈須きのこ
・辻村深月
・佐藤友哉
・竹宮ゆゆこ

上記の作家の全ての作品を愛しています。

主に好きな漫画家
・児玉樹
・荒井チェリー
・椿いづみ
・福本伸行

漫画の神
・手塚治虫


補足
西尾維新の傑作はきみぼくシリーズだと思って日々を生きています。あのよさをわからない人間が多くて残念に思う。(とくに四作目)
そんな僕は生粋の西尾信者なので、いくらでも語れますし、いくらでも語りつくしてやりますよ。


『空っぽの知識』の別館ですが、よろしくお願いします。
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