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『儚い羊たちの祝宴』 著/米澤穂信  感想

2009.08.26 *Wed
儚い羊たちの祝宴儚い羊たちの祝宴
(2008/11)
米澤 穂信

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 バベルの会はこうして復活した。




 というわけで、米澤穂信の短編集。使用人と主人にまつわるお話が五つ掲載されています。

 この中の短編のうち、『玉野五十鈴の誉れ』だけは、『Story Seller』で読んだことがあって、すごく面白かったのを記憶していたので購入。ぶっちゃけ、ストーリーセラーでは、インパクトが飛び抜けてたのは有川さんだったけど、一番面白かったのは米澤さんだったしなぁ。

 ちなみに、五つ全部面白かったです。どれもオチがうまく利いていて、読み終わった後の読後感がいい。バッドエンドも多いですけど、それで胸糞悪くならないところが素晴らしいなと思います。


 ホント、おすすめですよぉ。







 それでは、ここから先は各話のネタばれも含めて。






○身内に不幸がありまして
 「会長、実は……。身内に不幸がありまして」

 オチが……オチがぁ……。
 何となく最後にお嬢様の述懐が始まったところでオチが読めてしまいましたが、余計にやべぇよ。最高の殺人の理由だな、おい。
 特に、夕日の思いがただの使用人としての思いからかけ離れてしまったのが分かってしまったあとだからこそ、余計に切ないって言うか、やるせない。

 しかし、三年目まではこれでいいとして、次の四年目もやる気なのだろうか、このお嬢様は。それとも、今年でバベルの会のお泊り回はおしまいってわかってたのかな? 大学ってことは四年制でいいと思うんだけど……。



○北の館の罪人
 「殺人者は赤い手をしている。しかし彼らは手袋をしている。これは光次が言ったことだがね」


 二段オチが素晴らしい。
 使用人のあまりは実は……けれど、早太郎様も実は……で、最後に赤い手袋。うわぁ、すげぇ。
 ほんとうに最後まで欲がなくて、完全に死んだ人間として生きた早太郎の生き様がすごい。最後のあまりの絵を、どういうつもりで書いたのかいろいろ想像していくとなかなか興味深いです。

 しっかし、腹黒いなこの使用人は。まあ、厳密な意味では違うんでしょうけど。



○山荘秘聞
 「口止め料です。どうぞ、この山荘でのことはご内密に」


 この使用人の屋島さんは最高の萌えキャラ。異論は認めない。
 というわけで、オチでときめいてしまいました。うわ、なんだこの使用人の鑑みたいな女。こんな使用人を雇っておいて放置するなんて、どんだけ宝の持ち腐れやねん!
 コレクションを見せたくなる気持ちはよくわかります。うん、そして自分の手柄を見せびらかしたいのもよくわかる。そのためだけにがんばる屋島さんがすげぇ健気。もう、あんた誰かの嫁に行けよ、そうすれば一生その人に尽くせるから!

 内容はホラー的でしたが、はじめの流れ的に越智さんが生きているのはたぶん確実だろうなぁと思っていたので、あんまり心配はなかったです。しかし、熊の手かぁ。



○玉野五十鈴の誉れ
 「ここにおります、純香さま。玉野五十鈴は、ここにおります」


 『Story Seller』で一度読んでいたのですが、改めて読んでも面白かったです。

 純香と五十鈴の関係は、主人と使用人という関係の理想の形だなぁと思います。建前としての主従もしっかりと保ちつつ、心はしっかりと伝えあっているという。こういう信頼関係は、なんだかいいなぁと思います

 最後。おばあさまの最後はすげぇスカッとします。そのあと五十鈴と再会できたらいいなぁと思うのですが、どうなるんだろ。続きは、野暮なだけですけどね。



○儚い羊たちの祝宴
 わたしは


 アミルスタン羊。
 よし、覚えたぜ。(何のために……)

 ちゃんと匂わせながらも、最後にアミルスタン羊の正体を明言せず、ただ描写だけで知らせたのがナイスだと思います。っていうか、ある意味ホラーだぜこれ。
 厨嬢の設定とかは、実在にあるみたいなので、しっかりそういうのも調べていてすごいなぁと思いました。っていうか、その設定があるからこそ、最後のオチが映える。平然とバベルの会を売る鞠絵怖ぇ。ってか、肉がついていないって……。

 表題作だけあって、インパクトがすさまじかったです。それでいて、後味がそれほど悪くないのが素晴らしい。いやあ、さすが米澤さん。面白い物語、ごちそうさまです。



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CATEGRY : 米澤穂信

COMMENT

久しぶりにコメントさせていただきます!
ホントに面白そうですねえー。
西織さんと同様Story Sellerでその短編を読んで、早速本屋で手にとっては見たのですが、中学生の財力はたかが知れています、涙を呑んでそっと棚に戻したのがほんの1ヵ月前のことでしょーか。。

それから、「遠まわりする雛」の感想も見させていただきました。同性のせいか、えるの魅力を完全に忘れていました・・・ホータローのせいです。可愛すぎるんです。


今度某友人(メのつくひと)を丸め込んで買わせようかなと思ってます(黒笑)
2009/08/26(水) 18:53:01 | URL | アイスドール #- [Edit
アイスドールさん、お久しぶりです!

この短編集は、本当に秀逸でした。米澤さんは、比較的軽い文体の作風ですけど、それでこういう物語が紡げるのかと驚きました。
値段的には確かにきついですが、それだけの価値はあると思います。(まあ、僕は古本屋で見つけたんですが……だって、近くの本屋に置いてないんだもん……)

「遠まわりする雛」の方は、えるのかわいさばかり語った気がしますが、ホータローも同性から見てもすげぇ可愛いと思いました。もう、こういう青臭さが可愛すぎて……って、何おっさんみたいなことを言ってるんだ。
 ホータローは、ふだんはなんてことないように澄ましているくせに、妙なところでどぎまぎするから可愛いんですよね。どこかの小市民にも見習ってほしいものです。

 ではでは。
2009/08/27(木) 01:39:32 | URL | 西織 #fBhJEaUc [Edit

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プロフィール

西織

Author:西織
大学に入学を果たしたただの読書好き。

拍手がえしに関してはこちらでご覧ください。
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年齢:19
誕生日:九月九日
血液型:A型
趣味:読書
夢:作家(前途多難)


主に好きな作家
・西尾維新(番外位)

・奈須きのこ
・辻村深月
・佐藤友哉
・竹宮ゆゆこ

上記の作家の全ての作品を愛しています。

主に好きな漫画家
・児玉樹
・荒井チェリー
・椿いづみ
・福本伸行

漫画の神
・手塚治虫


補足
西尾維新の傑作はきみぼくシリーズだと思って日々を生きています。あのよさをわからない人間が多くて残念に思う。(とくに四作目)
そんな僕は生粋の西尾信者なので、いくらでも語れますし、いくらでも語りつくしてやりますよ。


『空っぽの知識』の別館ですが、よろしくお願いします。
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