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『ふちなしのかがみ』 著/辻村深月  感想

2009.07.19 *Sun
ふちなしのかがみふちなしのかがみ
(2009/07/01)
辻村 深月

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 その向こう側は、決して覗いてはいけない――。




 へい。というわけで、六月末に出たばかりの、辻村深月の新作。
 といっても、どうも内容は全部『野生時代』で連載されていたものを単行本にまとめただけのようですが。まあ、読んでない身としては関係ないです。

 とりあえず、扱いとしては辻村深月版ホラー&サスペンス小説、ってことでいいかな。
 サスペンスだったら『こどもたちは夜と遊ぶ』でもやっていたけれど、あれはホラー要素はなかったからなぁ。あんまホラー読んだことない僕が言うのもなんですが、真面目にホラー小説やっていたと思います。
 ただ、何だろう。ちょっとおとなしすぎるかなぁ、という感じも受けました。短編集なので、好みはそれぞれ分かれるとは思いますが、これといった大きな魅力がある、って感じじゃないんですよね。『太陽の坐る場所』の時にも思ったけれど、地味な物語を描くのはうまくなったけど、いまいち強く惹きつける魅力が減った気がする。こんなこと思うのは僕だけかもしれないですが。

 まあ、とはいっても面白くないわけではないので、ちょっとしたホラーが好きな人にはお勧め。それこそ暗がりから誰か覗き込んでるんじゃないかと妄想するのが好きなプチホラー好きな人はいいんじゃないかな。(襲われるのが好きな人は物足りないと思うけれど)




 ここからは、内容踏まえてそれぞれの感想。



○踊り場の花子

 話のオチだったり流れだったりは好きなんですが、いかんせんちょっと長い。もうちょっとコンパクトに行った方が衝撃が強かったかもなぁ、と思います。
 特に、職員室でタバコを吸うのは誰?ってところですでに犯人はわかりきっているんだから、そこから引き延ばすのはどうかなぁ、とか思いながら読んでいました。
 ただ、ラストは一気に突き抜けた感があります。無限階段。先生のおびえている様子がじかに伝わってくるようでよかったです。



○ぶらんこをこぐ足

 ちょっとよくわからなかった話。そもそも、誰が誰なのかを理解するのに時間がかかって、要するにどこが決め手なのか分からず、雲に巻かれた気分です。
 まあ、単純に読解しようとする意志が弱かっただけなんですが。途中でつまんねー、ってなってしまったんですよね……。多視点から事件を見る、っていうのは好きな方ですけど、それが現在過去と入り乱れてどこに飛ぶのやら全く分からんからちょっと萎えました。ってか、だれか解説して、マジで。



○おとうさん、したいがあるよ

 解説してほしい話、その二。
 んーと、とりあえず、主人公の見ている世界で、現実と幻想がごっちゃになっちゃったってのはわかるんですけど、結局それで何がやりたかったんだろう。死体が示すものもよくわからなかったし……。
 こういう、隠喩されたものを解き明かすのってあんまり得意じゃないので素直にお手上げです。わからん、誰か解説してください、ほんと。



○ふちなしのかがみ

 一番面白かった。
 ってか、やっとオチが理解できた話。
 この話の完成度は高いなー、と思いました。オチが理解できたからそう思えるんですが、なるほどなるほど。そうくるかー、って感じでしたね。
 辻村さんの名前トリックはもう嫌ってほど使い繰り返されていますが、それが久しぶりにうまくはまった気がします。まあ、はじめはそのトリックの所為でワケワカメだったんですが、それを理解して読み返すとなんか深みがずいぶん違うように思える。
 とりあえず、この話が読めただけでも買った価値はあったかな、と信者の僕は思いました。



○八月の天変地異

 ちょいいい話。
 辻村さんらしい、といえば辻村さんらしい話で、なんかちょっと安心しました。あんまり好きなタイプの話ではないんですが、不気味な話が続いた後にこういうのが来ると何となくほっとできる。
 しかし、小学生書くのうまくなったなぁ、ほんと。『ロードムービー』のときもうまいと思ったけれど、『ぼくのメジャースプーン』の秀才小学生がウソみたいに、違和感がないです。
 話自体はあんまり斬新、というわけじゃないですけど、辻村さんの筆力が読ませてくれるなぁ、と思いました。




 とりあえず、以上。
 うーん、しかし、本当に普通以外の感想が出てこないのが苦しいかも。
 正直僕の中では、『凍りのクジラ』→『ぼくのメジャースプーン』→『スロウハイツの神様』とウナギ登りに面白さが増していった印象が強すぎるので、『ロードムービー』以降はちょっと物足りない気もするんですよね。文章とかは格段にうまくなっていると思うんですけれど。
 次の長篇では、ぜひスロウハイツ並みのものを期待したいです。

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COMMENT : 2
TRACKBACK : 1
CATEGRY : 辻村深月

COMMENT

先日は、ありがとうございました。
こちらにもトラックバックさせていただきました。
トラックバックお待ちしていますね。
2010/05/05(水) 18:23:06 | URL | 藍色 #- [Edit
ありがとうございます。
これを読んだのであれば、ぜひ『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ』も読んでみてください。面白かったですよ。
2010/05/05(水) 21:58:23 | URL | 西織 #fBhJEaUc [Edit

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プロフィール

西織

Author:西織
大学に入学を果たしたただの読書好き。

拍手がえしに関してはこちらでご覧ください。
http://blogvote.fc2.com/pickup/emptyreader


年齢:19
誕生日:九月九日
血液型:A型
趣味:読書
夢:作家(前途多難)


主に好きな作家
・西尾維新(番外位)

・奈須きのこ
・辻村深月
・佐藤友哉
・竹宮ゆゆこ

上記の作家の全ての作品を愛しています。

主に好きな漫画家
・児玉樹
・荒井チェリー
・椿いづみ
・福本伸行

漫画の神
・手塚治虫


補足
西尾維新の傑作はきみぼくシリーズだと思って日々を生きています。あのよさをわからない人間が多くて残念に思う。(とくに四作目)
そんな僕は生粋の西尾信者なので、いくらでも語れますし、いくらでも語りつくしてやりますよ。


『空っぽの知識』の別館ですが、よろしくお願いします。
http://tukimaturi.blog89.fc2.com/

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