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『魍魎の匣』 著/京極夏彦  感想

2009.06.11 *Thu
魍魎の匣―文庫版 (講談社文庫)魍魎の匣―文庫版 (講談社文庫)
(1999/09)
京極 夏彦

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 それを見ると匣の娘も
 にっこり笑って、
 「ほう、」
 と云った。
 ああ、生きてゐる。






 ひっさびさの本の感想。
 やっと、やっと読み終えました……。


 と言っても、読み終えたのは三日前だったりするのですが。
 ホントは読み終えてすぐに感想書きたかったのですが、忙しくて書く気力がなくて……。今もそんなに乗り気じゃないのですが、このままだと永遠に書きそうにないので、無理して書きます。

 ちなみに、なんで今さらかというと、単純に図書館でみつけたのが先日だったからです。


 さすが、名作だけあって面白かったです。
 『姑獲鳥の夏』も面白かったですが、読みやすさで言えばこの『魍魎の匣』の方がわかりやすかったかもしれません。まあ、長さでいえばこっちは長すぎですが。
 でも、個人的にはミステリーとしては『姑獲鳥の夏』の方が秀逸だったかもしれない、と思います。『魍魎の匣』はどちらかというと、ストーリーとオカルト要素で魅せている感じがする。あんまミステリーって感じじゃないように見えたんですよね。

 本が厚すぎるので、ぶっちゃけ読むのはかなり疲れたのですが、だれることが全然なかったのが不思議な感じでした。分量が多くても面白いものは面白いんだなぁ、と思わせてくれるような一作です。
 特に、京極さんの書くオカルト方面の話は、僕がかなり好きなタイプの理論なので、毎回じっくり読んでいます。しかし、ここまでややこしい理論をよく整理して書けるよなぁ。

 いろんな人物たちのかかわった事件が、最終的に京極堂のところに集まって終息する、という形が、群像劇のような感じで読んでて次が気になる感じでした。ほんと、厚さが問題なんだよなぁ。(でも、無駄なエピソードってのがほとんどないから困る)





 では、内容について。





 四つの事件が、互いに少しだけ重なりあっているだけで、完全に一致しているわけじゃないというのがおもしろかったです。
 加菜子の飛び込み事故の真相は、『通りもの』というのがより実感できていい感じでした。電車のホームで、前の人を押したらどうなるだろうか、と思ったことは誰だってあると思いますが、普通はその一線を越えることはありません。それを越えるための『何か』が入り込む、というのが実感もちやすいです。

 気に入ったキャラは木場さんなのですが、あの刑事さんかっこよすぎです。権力ないのに意志の力で全部跳ね返しているところがかっこいい。その癖女優の美波絹子にベタボレってのが、なんだか人間らしくてよかったなと思う。
 中身よりも外側だ、と言って刑事としての自分を作っていくところの考え方が、なんだか新鮮でした。普通中身が大切だ、というから余計にそう感じたのでしょうが、この武骨者が言うと別の意味でも説得力があるように思える。不器用なんだろうなぁ、どうにも。

 あと、榎木津のキャラが『姑獲鳥』の時より感情移入しやすくなってた! 正直、姑獲鳥の時は「なんだこいつ?」って感じだったのですが、今回はわけのわからんキャラとしてとらえやすかった。
 頼子の母親の所にづかづかとあがりこんで勝手に語りだしたところは面白かったなぁ。

 逆に、やっぱりいらついたのは関口。んー、完全にあわないなこのキャラとは。『姑獲鳥』の時はそんなにいらつかなかったと思ったけど、前の自分の感想読んでみると、その時も好きになれないって言ってるし……。
 特に京極堂が「殺人者と一般人にさほど違いはない」って言ってるのに、出生の異常性をわざわざ言い連ねているところが腹立った。まあ、作者はわざとやっているんだろうけれど。



 主要はそんなところで、サブというか敵役。

 久保竣公については、正直唐突な感じが強かったかも、と思います。だって登場したの一番初めの一回だけで、他は私小説と会話上に出てくるだけだったじゃないですか。まあ、それでも違和感なく受け入れられたのは物語の勢いゆえだと思いますが。
 登場させる隙がないとはいえ、もう少し伏線はってもよかったんじゃないかなぁと思ったりします。
 しかし、それにしてもこの人の最後は悲惨だなぁ……。

 一番初めに引用もしているのですが、あのシーンの真実が明かされたときは鳥肌ものでした。
 もう、言葉にならない衝撃がぐっときました。本編の長さがそのワンシーンのためにあるといっても過言じゃないんじゃないか? と思うくらいです。魍魎に惑わされた久保の気持ちが実感を伴ってわかったよ……。


 続けて、雨宮についてですが、彼の生き方はなんていうか切ないものがあったなぁ、と思います。
 でも、ああいった恋愛の形は、いびつではありますが見ていてなんだかいいなぁ、とも思えたりします。はたから見たら悲惨かもしれないけれど、当人は幸せなんだからいいじゃない? って感じです。(ここで、『当人たちは』と言えたらいいんですけど、加菜子はわからないからなぁ)


 次に、美馬坂博士。
 加菜子の親と、あと建物の匣については、結構早い段階でちょっと想像ついちゃったので残念だったかもしれない、と思いました。もしこの本をもっと早く読んでたら素直に驚けたんだろうな。
 しかし、彼の語る死生観はちょっと倫理観が違うだけでしっかりと筋が通ってるところがすごいなぁ。普通こういうのって、研究者は狂気にかられてやった、とか、研究一筋でやった結果、という落ちに持っていくのが多いと思うのですが、美馬坂博士の場合は最後まで人間らしい理性も感情ももってたしな。(多少歪んではいるが)







 んー、こんなところかな。

 あと、作中で語られたオカルト話は、なんかちょっと話し始めたら熟読した人に駄目だしくらいそうなのでちょっと自重しておきます。いや、正直五割は理解したと思うけれど、全部は無理だわ。
 でも面白いんですよね。オカルト、と言いながら科学的で、それでいてやっぱり呪術的な感じ。そもそも科学もオカルトも始まりは同じですしね。(その観念は僕もいつか自分で表現したいと思う)



 そんなわけで、久しぶりの感想でちょっと拙い感じはしますが、この辺で。

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西織

Author:西織
大学に入学を果たしたただの読書好き。

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年齢:19
誕生日:九月九日
血液型:A型
趣味:読書
夢:作家(前途多難)


主に好きな作家
・西尾維新(番外位)

・奈須きのこ
・辻村深月
・佐藤友哉
・竹宮ゆゆこ

上記の作家の全ての作品を愛しています。

主に好きな漫画家
・児玉樹
・荒井チェリー
・椿いづみ
・福本伸行

漫画の神
・手塚治虫


補足
西尾維新の傑作はきみぼくシリーズだと思って日々を生きています。あのよさをわからない人間が多くて残念に思う。(とくに四作目)
そんな僕は生粋の西尾信者なので、いくらでも語れますし、いくらでも語りつくしてやりますよ。


『空っぽの知識』の別館ですが、よろしくお願いします。
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