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『MOMENT』 著/本多孝好  感想

2009.04.25 *Sat
MOMENT (集英社文庫)MOMENT (集英社文庫)
(2005/09)
本多 孝好

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 「死ぬまさにその瞬間、君は何を考えると思う?」






 本多孝好さんの作品は、『story seller』と、前に感想を書いた『真夜中の五分前』の二つではまったので、集めるようにしています。

 この『MOMENT』ですが、はじめは図書館で借りていたのですが、二話目を読み終わった段階で、「これは買わなきゃだろ!」となりまして、自分で買い求めて読み終えました。


 話は、病院の掃除夫のバイトをしている主人公が、病院に前から伝わっていた、「死を前にした患者の願いをひとつ聞き入れる」という噂に便乗して、患者の願いをかなえていくという話。

 四つの話から構成されており、どれもこれもかなりいい話でした。また、最後にわかる真相がうまかった。最後の主人公の選択は、たぶん人によっては嫌なものかもしれませんが、それでもちゃんと決着をつけただけよかったなぁと思います。




 ここからは各話の感想を。




ACT.1 FACE

 なんというか、この物語がただの心温まる物語じゃないんだぞ、というのを一番初めにつきつけられたような気分になる物語でした。
 本当だったら、もっといろいろ愛やら絆やら、目に見えない大切なものやらでまるく収まるんでしょうけど、そんなわけはなく、脇坂氏の浮気はばれるし、智美ちゃんは非行に走るし、老人はその鬼の面を暴かれたあとで死んでしまう。神田の、「鬼は死なないんだよ」っていうセリフは、はじめは何を言っているかわかりませんでしたが、読み返すときになると、その狂気になんともいえない感覚に襲われます。

 ってか、最高に後味が悪い一話目だったな……



ACT.2 WISH

 ラストが最高に良かったです。
 途中はもう、絶対にこりゃハッピーエンドにはならんだろうとハラハラして読んでいたんですが、美子の目的がわかって牧野に詰め寄ってるところからは安心して読めました。

 ってか、本当に最後の、キスまでの流れが最高だったんです。そのおかげで購入することを決めたくらいですから。
 この感動っていうか情感は、読んでもらわないとわからないなぁ。本多孝好さんの文章って、淡々としているからこそ、ストレートにぶつかってくる感じがするんだよなぁ。こういうの憧れます。



ACT.3 FIREFLY

 これも、最後の展開がすごかったです。

 毎日毎日かけていた電話の相手がわかったところは……。もう切なくて悲しくて、震えてしまいました。
 本当に、こういう展開弱いんです。間接的につついてくるようなのがホント堪える。実際、死を意識したような人たちって、あんまりその苦しみを前面に出したりしないのを考えると、リアルだなぁと思って余計に堪えます。
 本当はいろいろ語りたいことがあったのですが、もう思い出せば思い出すほど、悲しいけどいい話だった、という感想しか出てきません。あー、切ねーなぁ。



The Final ACT. MOMENT

 この物語集の真相が明かされるとともに、主人公の答えを出す章。

 この章は話がおもしろいかどうかよりも、主題に対する答えをひとつ提示する、という感じの話でした。
 主人公の神田が出した答えは、まあ、答えとしてはちょっと残酷で、人によってはかなり嫌悪感を示すかもしれませんが、確かにそういうもんだろうなぁとも思わないでもないです。
 死ぬ瞬間のことなんて、その時にならなきゃわからない。むしろ、その時になったら嫌でもわかってしまう。それまでの期間を、どういう風に過ごすのかが問題。とても陳腐な答えですけど、三つの物語を通して神田が考えた結果ですから、決して意味がないものではないと思います。

 ただ、僕としては、死を望む人には望みをかなえてやってもいいんじゃないか、と思うんですけどね。
 尊厳死に安楽死。この問題は、いつまでも問題になり続けると思いますが、大抵個人の意見では賛成が多いんですよね。でも、不思議と公の意見になると反対が多い。そうでなければ、社会が安定しない、っていうのもあるんでしょうけどね。本音と建前は別、ってことではあるましけど。
 そんな中、個人の意見として反対を主人公が唱えたことは、ある意味いいことではあると思います。そりゃあもう、理想論も理想論で、幼稚なものですけど、はっきりとこういう意見もあるってことをだしてくれたことがすごいと思う。





 まあ、そんなわけで、面白い物語でした。


 しかし、久しぶりに「しんみり」っていう感情を感じたなぁ。

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2012/08/20(月) 18:55:18 | | # [Edit

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2011/02/08(火) 17:58:28 | 粋な提案 [Del

プロフィール

西織

Author:西織
大学に入学を果たしたただの読書好き。

拍手がえしに関してはこちらでご覧ください。
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年齢:19
誕生日:九月九日
血液型:A型
趣味:読書
夢:作家(前途多難)


主に好きな作家
・西尾維新(番外位)

・奈須きのこ
・辻村深月
・佐藤友哉
・竹宮ゆゆこ

上記の作家の全ての作品を愛しています。

主に好きな漫画家
・児玉樹
・荒井チェリー
・椿いづみ
・福本伸行

漫画の神
・手塚治虫


補足
西尾維新の傑作はきみぼくシリーズだと思って日々を生きています。あのよさをわからない人間が多くて残念に思う。(とくに四作目)
そんな僕は生粋の西尾信者なので、いくらでも語れますし、いくらでも語りつくしてやりますよ。


『空っぽの知識』の別館ですが、よろしくお願いします。
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