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『少女不十分』 著/西尾維新

2011.09.08 *Thu
少女不十分 (講談社ノベルス)少女不十分 (講談社ノベルス)
(2011/09/07)
西尾 維新

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 「先生の作品を、子供の頃からずっと愛読していました。こうしてお会いできて、とっても嬉しいです。これからよろしくお願いします。楽しいお話を、たくさん聞かせてくださいね」




 西尾維新の原点回帰にして新境地。
 十年目だからこそ書くことのできた、一つの物語。

 ラノベ的な軽い話を期待している人には辛いだろう。会話劇のような楽しい話を期待していたら肩透かしにあうだろう。しつこい語りに食傷な方もいるだろう。イラストに騙されて読むのを辞める人もいるだろう。

 しかし、これまでの西尾維新を読んできた方なら、必ず心をつかまされるだろうと思う。

 なんにしても、この物語を読んで文句の一つも出すことができず、ただただ言葉をなくして満たされた気分になっている自分は、どうしようもないほどに西尾維新のファンであり、西尾維新にぞっこんなんだろうと思う。









 そんなわけで、ネタバレありの感想を。









 自伝かと思いきや半自伝。どこまでが本当でどこまでが嘘なのか。
 さすがに事件そのものはウソにしても(少女にほいほい誘拐されるいい大人がいるとは思えない)、ここで語られた思想なんかはやっぱり西尾さん本人のものなんだろうなぁと思う。

 読んでいる最中の感覚としては、わくわくどきどきと言うよりも、ただただ静かに歩を勧める感じ。

 回りくどい言いまわしなんかはやっぱり西尾さんで、そういうところが面白かったりもするんだけど、けれど一番重要なのは誘拐劇の崩壊から。もっと言えば、この小説は、42章と44章のためにあると言っても過言じゃないだろう。

 道を外れた奴らでも、間違ってしまい、社会から脱落してしまった奴らでも、ちゃんと、いや、ちゃんとじゃないかもしれないけれど、そこそこ楽しく、面白おかしく生きていくことはできる。

 きみの人生はとっくに滅茶苦茶だけど……、まあ、何も幸せになっちゃいけないということはないんだよ。



 十年間。
 小説を書いてきて、デビューして、いろいろな話を紡ぎ、さまざまな物語を描き、それこそ多種多様なお伽噺を僕たち読者に語ってきたけれど、それらに共通するテーマというものはこれなんだよ、という作者自身の言葉。

 前置きで語られた、柿本という作家の物語を紡ぐ理由。

 この小説は、最初から最後まで、作者の自己解説であり、そして自己満足でしかないんだろう。
 けれどだからこそ、その理由が判明したときのカタルシスは素晴らしいと、僕は思う。



 まあぶっちゃけてしまうと、もう作中でこれ以上ないってくらい語られちゃっているから、考察する隙も解説する隙もないわけですが。
 ただ、十年間と言う期間を創作につぎ込んできたからこそ描けた話なんだろうと、静かに感じいるだけである。

 なんにしても、最後はハッピーエンドで〆たところが、ありきたりと言われようがよかったなぁと思うところです。



 あと、まあキャラ萌えの話になるんですけど。ってかキャラ萌えするところあったかとか言われそうですけど、いや、誘ちゃんマジ可愛いじゃん? 

 「ご、ごはん、を食べる前には……、いただきます、でしょう!」
 「この青くなっているところを押すと、痛い」
 「疲れた」

 この三つで死ぬほど悶えた変態さんです。うん、ヤンデレいいね。
 しかもそれがちゃんと成長しちゃうんだぜ。最高じゃないか。





 最後に。


 言葉だけを頼りにかろうじて生きている少年と世界を支配する青い髪の天才少女の物語

 妹を病的に愛する兄と物事の曖昧をどうしても許せない女子高生の物語

 知恵と勇気だけで世界を救おうとする小学生と成長と成熟を夢見る魔法少女の物語

 家族愛を重んじる殺人鬼と人殺しの魅力に惹きつけられるニット帽の物語

 死にかけの化物を助けてしまった偽善者と彼を愛してしまった吸血鬼の物語

 映画館に行くことを嫌う男と彼の十七番目の妹の物語

 隔絶された島で育てられた感情のない大男と恨みや怒りでその身を焼かれた感情まみれの小娘の物語

 挫折を知った格闘家と挫折を無視する格闘家の物語

 意に反して売れてしまった流行作家と求職中の姪っ子の物語

 奇妙に偏向した本読みと本屋に住む変わり者の物語

 何をしても失敗ばかりの請負人とそんな彼女に好んで振り回される刑事の物語

 意志だけになって生き続けるくのいちと彼女に見守られる頭領の物語




 戯言シリーズ。
 世界シリーズ。
 りすかシリーズ。
 人間シリーズ。
 物語シリーズ。
 ニンギョウがニンギョウ。
 刀語。
 蹴語。
 難民探偵。
 なことシリーズ。
 哀川潤の失敗シリーズ。
 真庭語。




 これから、西尾維新がどんな物語を描いてくれるのか。楽しみです。


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CATEGRY : 西尾維新

COMMENT

どうもMr.Kidsです~。
僕も昨日ちょうど読み終わりましてね。
ですのでコメさせていただきます!!

> ラノベ的な軽い話を期待している人には辛いだろう。会話劇のような楽しい話を期待していたら肩透かしにあうだろう。しつこい語りに食傷な方もいるだろう。イラストに騙されて読むのを辞める人もいるだろう。
> しかし、これまでの西尾維新を読んできた方なら、必ず心をつかまされるだろうと思う。
> なんにしても、この物語を読んで文句の一つも出すことができず、ただただ言葉をなくして満たされた気分になっている自分は、どうしようもないほどに西尾維新のファンであり、西尾維新にぞっこんなんだろうと思う。

全力で同意ですっ!!w
僕も、すげぇ満たされましたw。
毎回思うんですが、西尾作品てハマるひとはとことんハマれると思うんですよね。
それこそ、泥沼のように。
もう、それはそれはドップリと。
世界シリーズとか、戯言シリーズとか、化物語シリーズとか。
今回の作品も、西尾先生が好きであればあるほど、楽しめたのかなと。
ホント、本自体ラノベとか娯楽小説とかしかあまり読まない僕が、こんなに好きな作家さんが出来たことが普通に嬉しいですよ。

> この小説は、最初から最後まで、作者の自己解説であり、そして自己満足でしかないんだろう。けれどだからこそ、その理由が判明したときのカタルシスは素晴らしいと、僕は思う。

そうですねぇ。
結局は西尾先生の自己満足でしたからねぇ。
書きたいから書いた物語であり、書きたいから書いた小説。
先生らしいですねw。

> 「ご、ごはん、を食べる前には……、いただきます、でしょう!」

僕も萌えました・・・・。
そして、そんな自分にガッカリしましたw。
小説の中だからって、もう、少女をそういう目でしか僕は見れないのかと・・・・w。
自分にゲンナリしましたw。

> 戯言シリーズ。
> 世界シリーズ。
> りすかシリーズ。
> 人間シリーズ。
> 物語シリーズ。
> ニンギョウがニンギョウ。
> 刀語。
> 蹴語。
> 難民探偵。
> なことシリーズ。
> 哀川潤の失敗シリーズ。
> 真庭語。

これよくわかりましたねw。
僕、6個ぐらいしかわかりませんでしたよw。
蹴語とか、雑誌に掲載されたやつを読んだんですか?
てゆーか、こうやって見るとまだ読んでない本めっちゃあるなw。
お金も時間も足りない・・・・。


ではでは~v-422
2011/09/18(日) 14:58:01 | URL | Mr.Kids #- [Edit
どうも! コメントありがとうございます!

西尾維新にハマる人はとことんハマる、というのはわかりますね。この独特なアクにとらわれたら逃げ出せはしませんよww

ちなみに、この作品が出るのが発表される前ですが、夏の新作というワードで、インタビューの時に「次は叙述トリックを使おう」とか西尾さんが言っていたりしたので、おそらくその時に全体の構成はかんがえられたんじゃないかな―と思います。自分自身を叙述の対象にするってところが、大胆と言うか面白いというか。

しかしUの可愛さは本当にロリ可愛くてやばいですね。大丈夫。一般文芸にも萌えはあります。狙った萌えではなく真の萌えこそ秀逸。そう思えばいいのです。


ちなみに作品群に関してですが、他にもJDCトリビュートシリーズだとかノベライズ関係だとかもあるので、西尾作品全部が紹介されているわけじゃなかったですね。まあ、さすがに他社作品であるめだかとかを書くわけにはいかなかったということでしょうか。
ただ、本書で語られたコンセプトである『異常者が異常者のまま幸せになる』というのと照らし合わせると、めだかボックスなんかはド直球な気もしますね。
あと、蹴語についてはパンドラという雑誌の創刊号は買って読んで、あとは全部立ち読みですね。話がいいところで止まってんだよなあれ。とりあえず今回の作品で忘れられていないことだけは確認できてよかったです。

しかしまあ、自分は七年間西尾維新にぞっこんで生きているんですが、その期間積み重ねてきた思いすべてが報われた気さえしました。これからも西尾維新と言う作家を追いかけていこうと強く思う次第であります。
2011/09/20(火) 01:04:14 | URL | 西織 #fBhJEaUc [Edit

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プロフィール

西織

Author:西織
大学に入学を果たしたただの読書好き。

拍手がえしに関してはこちらでご覧ください。
http://blogvote.fc2.com/pickup/emptyreader


年齢:19
誕生日:九月九日
血液型:A型
趣味:読書
夢:作家(前途多難)


主に好きな作家
・西尾維新(番外位)

・奈須きのこ
・辻村深月
・佐藤友哉
・竹宮ゆゆこ

上記の作家の全ての作品を愛しています。

主に好きな漫画家
・児玉樹
・荒井チェリー
・椿いづみ
・福本伸行

漫画の神
・手塚治虫


補足
西尾維新の傑作はきみぼくシリーズだと思って日々を生きています。あのよさをわからない人間が多くて残念に思う。(とくに四作目)
そんな僕は生粋の西尾信者なので、いくらでも語れますし、いくらでも語りつくしてやりますよ。


『空っぽの知識』の別館ですが、よろしくお願いします。
http://tukimaturi.blog89.fc2.com/

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