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『小説・秒速5センチメートル』 著/新海誠  感想

2010.04.25 *Sun
小説・秒速5センチメートル (ダ・ヴィンチブックス)小説・秒速5センチメートル (ダ・ヴィンチブックス)
(2007/11/14)
新海 誠

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 ずっと昔のあの日、あの子が言ってくれた言葉。
 貴樹くん、あなたはきっと大丈夫だよ、と。





 雨さんから前々から勧められていたアニメを見てドハマりしました。はい、小説は衝動買いです。
 しかし、衝動買いしただけのことはあったと思います。っていうか、アニメだけでは分からなかったことが本書を読んで解決したような気すらします。もう、とにかく読み終わった後のあの情感を言葉で言い表すのは難しいのですが、とにかく気持ちのいいひと時でした。

 本当にお勧めです。なるだけアニメと小説どっちも見てほしいところ。こんな素晴らしいものをずっと勧めてくれた雨さんありがとう。そして、この感想は見るなよ? まだお前は小説読んでないんだからな? 見るなよ? いや、確かにネタバレギリギリまで語っちゃったから分かるかもしれないけど、それでも見るなよ?






 ではでは、ネタバレありの感想を。




第一話「桜花抄」

 中学生の貴樹と明里の物語。
 この話に関しては、アニメを見た時の感想の方が強いんですが、最初の『秒速5センチメートル』の意味がわかるところと、最後らへんの「雪みたいだね」がすごく印象的です。本当にあの風景描写は奇麗だった……。
 この話単体でもかなり奇麗なんですが、これがちゃんと三話の話につながっているところがまた秀逸なんだよな……。詳しくは三話の方で語りますが、ほんと貴樹のラブレターには驚愕したぜ。

 しかし、こうして文章で読むと、やっぱりちょっと貴樹が詩人すぎるところもあるなぁとは思います。まあ、それがあるからこそこの話は面白いわけですし、また三話につながるわけですが。

 心情描写があることによって、貴樹の心細さというか、このままではだめだ、という漠然とした焦燥感のようなものが感じられたように思います。



第二話「コスモナウト」

 花苗可愛いよ花苗。
 いやあ、ほんとこの子の貴樹へのなつきっぷりは犯罪的でしょう。本気で尻尾生えててぶんぶん振っている姿が想像できますぜ。アニメではいつも下校一緒にしていたように見えるけど、実際は週一くらいの確率でと言われると、なんかもう健気さに涙が出るわ……。
 まあ、分からなくもないですけどね。貴樹みたいにちょっと悟っちゃった感のある異性だったら、魅力感じちゃうとは思うし。しかし、宿命的な恋か。もうその言葉だけで胸がかきむしられるような気がするよ。

 しかし、貴樹はどこまでわかってたんだろうか。深い拒絶をしたってことは、そういう危険があるってことは分かっていたんだと思うけれど、それにしては花苗に対してやさしすぎるんだよな……。天然なのか? ホント花苗の「やさしくしないで」っていう心の叫びが苦しい。
 そのシーンの心情描写を読みながら、アニメでのロケットの打ち上げシーンを思い出すと、感慨がすごかったです。こういうところ、あわせて見るともっと感動が深まる気がする。この時に、花苗が貴樹との距離をしっかりと悟ってしまうのが、やっぱり切ないし苦しいなぁ。



第三話「秒速5センチメートル」

 もはやオリジナルシナリオじゃないかと思うくらい書き下ろしと言うかエピソードが盛り込まれた三話。

 もう、こいつを読んで一日放心状態でした。
 いや、だってね、本当に勘違いしていたんですよ。アニメでの描写だけじゃ、貴樹がただずっと明里との思い出を忘れられないで、未練がましくぐだぐだとした人生を歩んでいるだけのように見えるじゃないですか。まあ、もうちょっとしっかり見たら別の解釈も出てきたかもしれないけど、一回見ただけだとそんな風にしか見えなかったんですよ。(っていうか、実際アニメだけだとそんな解釈しかできないみたい)

 けど、小説での表現を見ると、深みがさらに増しました。
 一番はあれです。貴樹が書いたラブレターの内容。それの最後を読んだ瞬間、思わず「えっ」って声に出しちゃいましたよ。
 いや、まさかあのとき、もう別れの言葉をラブレターに書いていたなんて……。
 つまり、あの時貴樹は明里に対する思いをふっ切ろうとしていたんですよね。ただ、好きでいるのをやめるわけではなく、単純に明里と恋人として、異性としての関係になることを拒んだわけです。
 それは、多分あの時の貴樹が自分の無力を感じていたからだと思います。子供である自分にできることの限界を理解していて、だから現実的に、明里と一緒にいることは不可能だと。
 その考え自体は、多分大人になるまでもずっと変わっていなかったんだと思います。ただ、キスをする前と後では世界が変わった、という表現の通り、見る角度が変わったんじゃないか、って思うんです。その時、多分二人ともお互いのことを、一つの思い出にしちゃったんじゃないかと思います。(もちろん、そのあとにも文通なんかで関係はしばらく続いたみたいですが、それが自然と途絶えたのもやっぱり思い出だからじゃないかと)

 それと、あとは「あなたはきっと大丈夫」という言葉です。
 この言葉こそが、貴樹をずっと支えていた言葉。これがあったから、貴樹は明里を忘れられなかったんでしょう。多分貴樹は、誰かに自分のことを認めてほしかったんだと思います。一人でも大丈夫。もう子供の時の無力な自分じゃない。そういったことを、誰かに認めてほしかった。多分、自分では自分を認めることができなかったんだと思います。
 この時点で、おそらく明里のことは貴樹の中ですでに思い出になっていると思うんですよ。ただ、思い出と言うには余りにも貴樹の中に根深く張り付いているから未練がましく見えるだけで。それこそ、明里が貴樹との思い出のことを自分の血肉と同じと思っているように、貴樹にとってもその地点まで明里との思い出は昇華されていると思います。
 ただ、貴樹がほしかったのは、明里のように自分を認めてくれる存在。そして、何より明里ともう一度出会った時に誇れるような自分を持ちたかった。だからそれを手に入れるためにがむしゃらに走っている間、彼は「まだ途中」と思っていたんでしょう。理想とする自分の姿にまだたどり着いていない。そして、なによりそうして自分の理想を追い求めているということを、彼が自覚していないのがたちが悪い。
 そんな彼が、挫折を経験して、そこから立ち直るまでを描いたのが三話だと思います。
 最後、明里と貴樹が踏切ですれ違った時。『いつかずっと先にどこかで偶然明里とすれ違った時』
 彼は、その自分の衝動のような感情の原点を思い出して、また歩き出すことを決意できたんだと思います。


 と、本筋はこんなところで。
 この三話では花苗がちゃんと貴樹に告白していたことが分かってよかったなぁ。これも、ふっ切るための告白というか、自分にけじめをつけるための告白ではありますが、もうこういうの萌え死ぬからやめてくれww。ああ花苗可愛いよ花苗。
 あと、何気に三人の女性とお付き合いしている貴樹君。うん、このリア充め。
 けどまあ、こうして貴樹がちゃんと女性と付き合っているのも、明里との関係が思い出としてなっているところでもあるよな。思い出と言うか、むしろ呪いかもしれないけど。まだ途中、まだ先へ、という焦燥感にずっとつままれてて、それに結局女の方がついていけなかった感じだけど。まあ、貴樹が悪いんだけどね。



 しかし、本当にラブレターは衝撃だったな……。っていうか、これはホント大人になる物語でもあるように思います。このラブレターの時点での貴樹と明里の距離感とか考えると、大人になった後で地味に逆転していたりして面白かったり。
 でも、やっぱり冷静に考えると、これって自分が男だから感情移入するのかもなぁと思うところがあります。こういった恋愛話って、女性の方が盛り上がって話しますけど、女性って終わった後は結構ドライですからね……。もうずっと過去のことを引きずる感覚ってのは、男だからこそ分かるのかもなぁと思いました。


 そんなわけで、もう小説を読んだからにはDVDも自分で買うべきだと思い立った西織は、多分DVDを買うと思います。うん、近場にないのが困る。絶対探しだす。


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西織

Author:西織
大学に入学を果たしたただの読書好き。

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年齢:19
誕生日:九月九日
血液型:A型
趣味:読書
夢:作家(前途多難)


主に好きな作家
・西尾維新(番外位)

・奈須きのこ
・辻村深月
・佐藤友哉
・竹宮ゆゆこ

上記の作家の全ての作品を愛しています。

主に好きな漫画家
・児玉樹
・荒井チェリー
・椿いづみ
・福本伸行

漫画の神
・手塚治虫


補足
西尾維新の傑作はきみぼくシリーズだと思って日々を生きています。あのよさをわからない人間が多くて残念に思う。(とくに四作目)
そんな僕は生粋の西尾信者なので、いくらでも語れますし、いくらでも語りつくしてやりますよ。


『空っぽの知識』の別館ですが、よろしくお願いします。
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