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『とある魔術の禁書目録 20』 著/鎌池和馬  感想

2010.03.12 *Fri
とある魔術の禁書目録(インデックス)〈20〉 (電撃文庫)とある魔術の禁書目録(インデックス)〈20〉 (電撃文庫)
(2010/03/10)
鎌池 和馬

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 「傲慢だろうが何だろうが、お前自身が胸を張れるものを自分で選んでみろよ!!」





 これまで、禁書を読んできてよかった……。
 そう思わせるような巻でした。
 今までのシリーズすべてに意味があって、その道のりがあったからこその二人の邂逅。そして、それぞれが違う形で精神的に救われる。





 とにかく、感想はテンションあげていきますよ!


 ……ってか、馬鹿みたいに長いから、気をつけて。僕の上条さんと一方さんへの愛がこうさせたんだよ……。

 感情の垂れ流しが見たくない人は、水平線で区切ったところは読まずに下の方のこまかいつっこみに飛んじゃっていいよ。










 第三次世界大戦勃発。
 そんな中に、三人の主人公が、戦地ロシアへと赴く。


 とりあえず、主人公勢の怪我が完治っぽいのはもういつものことだとあきらめましょう。その代わりヒロインがむっちゃ苦しんでいるので。
 とくにやばいのは滝壺だよなぁ。ラストオーダーは上条さんのおかげで先延ばしにできたみたいだし、なおかつインデックスっていう希望が見えてきたから。ただ、インデックスがまともに動くためには上条さんががんばらなきゃならないわけで……。
 滝壺に関しては、やっぱりこっちも上条さんが右手で応急処置するんだろうか。しかし、こっちは描写的に毒素みたいなものって感じだからなぁ。右手が効くかどうかはちょっと分からないですね。


 いや、まあそっちは置いておいて。


 今回三大主人公の乱れ戦う展開になったわけですが、そんななかでやっぱり一番印象に残ったのは一方通行サイドですね。
 この展開を前々から考えていたのだとしたら、本当に鎌池さん恐ろしい……。ミサカワーストが出てきたところはマジで鳥肌立った。一番危惧していたところというか、ピンポイントすぎるところをえぐりに来すぎだよ学園都市。そうじゃなきゃ意味がないってのはあるんだろうけれどさ。しかし、完全凍結したはずの実験を、また別の目的で再稼働させるなんて……。
 大体、今の一方さんにとって一番やばい展開ってのは、美琴との再会なんですよね。その時に美琴に敵意でも向けられたら、彼はどうなってしまうんだろうとは思っていました。しかし、美琴の性格的にすぐに戦いになることはないだろう、と安心していたのですが、まさかこういう形で来るとは。
 なにより一方通行にとって苦しいのが、ミサカワーストの言葉は、そのままシスターズの言葉と同じってことですよね。ただシスターズはその感情を理解することができないだけで、もし負の感情を強く覚えるミサカが現れた場合は、ミサカワーストと似たような感じになる。五巻の段階でラストオーダーによって一方通行が赦されたのは、結局のところ一方通行の事情を優先してだされた答えでもあるわけですし。あくまでシスターズの気持ちを優先した場合、やっぱりこうなっちゃうのかなぁ。
 まあ、それこそその辺はシスターズに実際に感情が芽生えないとわからないところですけれど。ミサカワーストの感情は学園都市の方が悪意を持って作ったって面があるので、実際に各々のシスターズがどう考えるかは分からんですね。(それこそ、レールガンの原作の方でちょっとだけあった布束さんのあの策略が成功していれば……)
 そして、そのあとのミサカワーストの最後の言葉。「……あ、な、た、の、せ、い、だ」。この破壊力はすさまじい。読んでてもうやめてくれ!って叫びそうになりましたよ。本気で最後の最後までつぶしに来ているんだって思うと、これでもまだ足りないんでしょうけれど。


 んで、そのあとに上条さんとの再会ですよ。
 そりゃキレるわ。
 ロシア編で三大主人公がそれぞれ対面した場合、一方通行と浜面は上条に対して何らかの感情(主に敵意的なもの)を出すとは思っていましたが、この、自らが救いたかったものを救えなかった、あまつさえ自らの手で壊してしまった状況で、自分の憧れる『すべてを守れる存在』を見つけてしまったら、もうどうしていいかわかんなくなると思います。
 ってか、この時の一方通行の叫びが本当につらい。
 どうしても届かない存在。当たり前のように現れて、当たり前のように目の前の存在を救う。そんな信頼感を上条当麻に抱いていたはず。それが、どうして自分だけ。自分と、目の前の少女にだけには向けてくれないんだ。それは究極のところでは正義にあこがれる気持ちの裏返しではあるだけに、一層一方通行を突き動かしたんだと思います。
 襲いかかる一方通行の口から出るのは、上条への攻撃的な言葉ですけれど、それって実は全部自分自身にも向いているんですよね。自分は救うことができなかった。自分は上条当麻というヒーローのようにはなれなかった。憧れて、自分を貫くために悪の道を歩むと決めたのに、それすらも踏み外してしまったという悔恨。だからこそ、八つ当たりっていう行為につながっていく。その憧れる思いが強ければ強いほど、八つ当たりの感情って強くなるものです。とくに一方通行の場合、自分の価値観を絶対的に変えた上条当麻は、それこそ信仰に近いものを抱いていたんだと思います。そうなりたい、けれどそうなれなかった。真似ることすらできなかった。そんな思いが全部叫びと行動になって飛び出る。

 けれど、そんな八つ当たりの思いすらも、上条当麻はちゃんと受け止めて、返してくれる。
 ちょうど当麻自身自分の戦う理由に悩んでいたこともあったでしょうけれど、そこから紡がれる彼の芯にある感情は、やっぱり凄い。ここまでできた人間がどれだけいるだろうか。『自分のことは自分で決める』というのは簡単なようで難しい。ましてや、自分の心の赴くままに突き進むというのは、なかなかできることじゃありません。
 でも、そうして一度自分の思うがままに進めたら、それは強い力になる。思いの力、なんていうと陳腐ですけれど、やっぱり自分で自分のことを認められるっていうのは、すごいことなんだと思います。
 そしてここで何より大切なのが、当麻は別に、相手を説得しようとしているわけじゃないんですよね。これはいつもそうなんですけれど、当麻は自分の意思をしっかり表示してはいますけれど、それを相手に押し付けようとは思っていないように思います。それで相手の心を変えようと思っているわけではなく、ただ我慢ならないから言う。それは間違っていると思うから叫ぶ。
 それは、第三者的な視点から見たらすごく傲慢なんだと思います。実際、そうした意味で上条当麻のキャラクターを嫌う人も多いですし。けれど、その言葉を直接向けられたとき、どうなるか。たとえば今回の一方通行のような場合、説得だとかいいわけだとか、そんなことじゃ絶対に元には戻らなかったと思うんです。信念と信念のぶつかり合い。そういった状況では、中途半端な譲歩は意味がないんだと思います。一方通行に必要だったのは、彼が大事に抱えていて、ボロボロになってしまった信念をより強い信念で壊してやること。それは間違いだって言ってあげること。そうして、他の指針を自分で探してやれるようにすること。そうじゃないのかと思います。

 そんな意味で、今回一方通行は初めて救われたんだと思います。自分の自責の念でもなく、他から向けられるプレッシャーでもなく、ただ自分の救いたいものを救うと決める思い。善だとか悪だとか、そんな風に言葉をこねくるまわして自分を作った気になっていた。けれどそれは、結局のところ自分で限界を作っているだけなんだって気づけたのではないかと思います。
 ……まあ、ここから一方通行がどういう選択をするかはかなり気になりますけれどね。

 最後に一方通行がラストオーダーの前でうなだれるシーンでもう完全に僕ぁ満足したよ……。









 うん。なんか一方通行の感想で無駄に長くなったので、とりあえず区切りました。



 さて、他の感想ですが。
 思いつくままに連ねてみます。


・上条さんのロシア入国ルート
 とりあえず当たり前のお話ですが、イギリスは島国です。
 ヒッチハイクでロシアまで来たとか言ってたけど……。まさか客船に乗せる車にまでヒッチハイクで同乗したのか?
 ……ってか、その前にちょっと待って。そもそも18巻の時点で、海路は封鎖されているとかいう話してなかったっけ? あれ? あれれ?


・「強盗だ」
 やばい。喜びながら滝壺に報告する浜面が可愛すぎてやばい。

 ってか、何気に浜面がどんどん一般人化しているんですよね。学園都市にいた頃なら、強盗くらいじゃそれほど動揺しないんじゃないかと思っていたけれど。うーん、その辺はやっぱり、『普通の高校生』の役割が上条さんから浜面にシフトしてきた感じかな。


・レッサー可愛い
 なんでこんな子に迫られているのに冷静に説教なんかできるんですか上条さん!?
 ってか、実を言うとイギリスクーデターの段階でこいつの存在感ゼロに等しかったのに、どうしてこんなに差がついた……。なぜか五和が超自然的な力で危機を察知しちゃってるし。
 あと、『鋼の手袋』が壊れた時が最萌えだと僕は思います。


・頭がいい上条当麻
 またこの……誰だお前!?
 なんか本気で頭いいんですけど上条さん。万年補習のお馬鹿さんはどこに行った!?
 そしてまた思惑がスムーズにいっちゃって……(まあ、スムーズにいかないとだめではあるんだけれど)


・フィアンマが小物臭のくせに無駄に強い
 なんでだろ。ぶっちゃけ扉絵とか、明らかに死亡フラグとしか思えない台詞はいているのに、周りのみんながみんな一斉に死亡フラグ立てている所為でフィアンマがなかなか倒れない。
 ってか、正直こんなんが魔術側のラスボスとかいやだわー。せめてアレイスターくらいのミステリアスくれよー。まあ、そのアレイスターも、どんどん小物臭というか、計画破綻による株の落ち込みがやばいですけどね。(そもそも浜面をイレギュラーとか言って放置するのが……)


・エンゼルフォールの伏線回収
 ここできたか! と思いました。
 まあ、サーシャが介入してきた時点で何かしらあるとは思っていましたが、そっか、あいまいな状態だから起きたってのはすげー納得できる。
 ってか、そもそも世界的な規模で起きた魔術がまったく問題にされていないのがおかしいとは思っていたので、すごくうれしい。まあ、後付けせっていかもしれないけれどね。(けれど、ある程度考えられて4巻は存在しているんだとわかっただけでうれしい)


・浜面が一人だけへヴィーオブジェクト
 これはセルフパロではないのか……。
 マジでヘヴィオブしててちょっと吹いた。まあ、内容的にはまったく笑えない状況にあるのだけれど。


・一方さんの右手
 こういうところも上条願望が地味に見えて切ないなぁ。
 やっぱかなりきにしちゃっている一方さん。


・「うわー。このままではフランスの馬鹿野郎にさらわれて死ぬほどレイプされまくる―」
 ごめん。死ぬほど笑った。

 続けてナイトリーダーのエリザードへの申請も。なんだこの組織ww


・何気に黒翼一方をそげぶしちゃった上条さんのラスボスオーラがパない
 勝っちゃったよ……。
 いや、さっきはいろいろ言いましたけど、ぶっちゃけ勝てると思わなかった。それどころか、何気にパワーアップの兆しも見えちゃってるし。
 ついでに言うと、地味に上条さんの今までの戦い方が明かされましたね。それ自体は何度も戦闘をくぐりぬけてきて自然と身についたと考えてもいいけれど、ぶっちゃけ相手から見たら怖いどころの話じゃないよな……。だって決定打が決まらないんだもん。できれば一撃で仕留めたいけれどその一撃は必ず避けられるか打ち消されるし、避けられないように大規模な攻撃やらかしても絶対に生存してくる。ほんと敵側から見たらこれ以上のチートはないな……。
 そして異常なタフネスと鋼のこぶしですよ。うん。お前がナンバーワンだ。


・禁書目録のことを一方さんが知った件
 考えてみたら、インデックス自体は一方さん12巻で知っているから、もし再会さえすればそう困った問題にはならんだろうとは思いますが。
 あと、ラストオーダーに関しても、上条さん知ってたんだよね。だから今回一方通行に対してインデックスのことを教えたんだと思いますが。


・ってか、そういやミサカワーストは?
 あれ? 結局救えたんだっけ?
 描写を見直してみると、救えたかどうかすげーあいまいなんですよね。あそこでもしワーストが助かっていても、どっちにしろ一方さんはあんな風だったでしょうし。うーん、次のお話かな。


・浜面のもとにはあの英雄が!
 キャー! アックア様素敵!!
 やばい。マジで燃える。やっぱそうだよ、この戦争の舞台にあのウィリアム=オルウェルが来ないはずがないじゃないか! そしてしかも一番戦力がほしい浜面サイドに! ああ。次が楽しみすぎる!


・「……たーのしみだねー。はーまづらぁー」
 口調は無茶苦茶可愛いけど無茶苦茶怖いです麦野さん!!

 しかし、まだ麦のんを引っ張るのか……。このまま浜面VS麦野第三戦をやらかすのはちょっと助長だと思うんだけどなぁ。
 と、ここで。今回ラストでアックアが参戦した浜面サイド。ここから導き出されるのは……。

 アックアVS麦野

 ……麦のん勝てるか?


・レールガン参戦
 これまで魔術師戦はほとんど参加していなかった美琴がいよいよ参戦ですよ。
 つーかそろそろ美琴もラストオーダーの存在を知るべきかと。

 あと、もしかしたら麦野との再戦も?(レールガンの漫画の方では絶賛戦闘中です)


・ヒューズ=カザキリ参戦
 やばい、これが一番燃えた。
 根底にあるのが友達のためってのがまたいいぜ!
 どうすんだよこれから。魔術の天使と科学の天使の一騎打ちか!? 何より氷華の目的はインデックスと当麻ですし、それにあだなすフィアンマは許せないと思うけれど。
 ってか、マジで強そうでびっくりした。戦闘機をブッち抜いていくとか……。


・ステイル孤軍奮闘
 ……だんだんローラが敵じゃないかと思えてきた。
 いや、ステイルにとっちゃ敵なんだろうけれど。
 しかし、魔術師状態のインデックスをどうするつもりなんだ? あれってフィアンマとつながっているから起きているって考えた方がいいのかな。





 そんなわけで、むっちゃ楽しかったです。

 やべぇ。三ヶ月がすげー待ち遠しい。まあかまちーなら三ヶ月で出してくれるだろうっていう希望的観測ですが。期待していますよ鎌池先生!!


 ではでは。くそ長くなりましたがこの辺で。
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COMMENT

お久しぶりです。受験から無事(まだ未確定だけど)復活してまいりました。
受験の日に禁書新刊だったのでそれはもうwktkしながら読んだのですが、今回は大当たりでした。

誰?この天才的なツンツン頭の少年は・・・。とか思ったりしましたが、えらく頼りになる上条さんがカッコよかったなー。と率直な感想です。

一方さんの心からの叫びと上条さんの根底にあるその気持ちのぶつかり合いが非常に熱かったです。

感想にも書かれているように、勝っちゃいましたねー、圧倒して。
2010/03/12(金) 23:33:15 | URL | you #HGg6wAcs [Edit
受験お疲れ様です!
受験終了と同時とは、なんと運がいい。受験日前だったらつらかったですね……。

当麻はなんか一周回って戦闘のプロになっちゃいましたね……。極限状態で才能が開花したとでも考えればいいんでしょうけれど、でも考えてみれば、今までもかなりの発想力は見せているんですよね。単純な勉強はできなくても、こういう実戦でのパズルじみたことは得意なキャラってことなんでしょう。
そういったところも、当麻の戦闘方法に出ているんだなぁと思います。……ホント、一方通行側からみた上条さんのラスボスオーラが……。

2010/03/13(土) 18:18:24 | URL | 西織 #fBhJEaUc [Edit

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西織

Author:西織
大学に入学を果たしたただの読書好き。

拍手がえしに関してはこちらでご覧ください。
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年齢:19
誕生日:九月九日
血液型:A型
趣味:読書
夢:作家(前途多難)


主に好きな作家
・西尾維新(番外位)

・奈須きのこ
・辻村深月
・佐藤友哉
・竹宮ゆゆこ

上記の作家の全ての作品を愛しています。

主に好きな漫画家
・児玉樹
・荒井チェリー
・椿いづみ
・福本伸行

漫画の神
・手塚治虫


補足
西尾維新の傑作はきみぼくシリーズだと思って日々を生きています。あのよさをわからない人間が多くて残念に思う。(とくに四作目)
そんな僕は生粋の西尾信者なので、いくらでも語れますし、いくらでも語りつくしてやりますよ。


『空っぽの知識』の別館ですが、よろしくお願いします。
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