スポンサーサイト

--.--.-- *--
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『フィッシュストーリー』 著/伊坂幸太郎  感想

2010.01.10 *Sun

フィッシュストーリー (新潮文庫)フィッシュストーリー (新潮文庫)
(2009/11/28)
伊坂 幸太郎

商品詳細を見る




 「だって」とどうにか答えた。「だって、ただのボールがあんなに遠くに」





 長らくお待たせしました。今年初めての更新です。
 今回感想を書くのは、伊坂幸太郎さんの短編集『フィッシュストーリー』。長さ的には中編集と言ってもいいかもしれないですが、とりあえずそんな感じです。

 最初の一つ目は正直微妙だったのですが、二つ目、三つめと進むにつれて面白くなっていきました。そして、最後の一つにガツンと一発。引用した文章は、最後の最後に涙腺をやられた一文だったので、どうしても引用したかったんです。






 では、ネタバレ込めつつそれぞれの感想を。






○動物園のエンジン
 『動物園へ行こう。休日をライオンと』


 うん、微妙。
 いや、好きな人はごめんなさい。ただ、どうしても強引っつーかなんつーか、あんまり河原崎のようなキャラクターは苦手なんですよね。同じ理由で『チルドレン』の陣内とかあんまり好きじゃないんで、あの作品は微妙に思ったりするんですけど。

 まあ、そういうのを置いていても、デビュー後第一作ということで、やっぱり文章がこなれていない感じはあるなぁ。これを読んだ後に次の『サクリファイス』を読むと、やっぱり読ませ方が全然違うように感じる。文体は同じ感じなんですけどね。



○サクリファイス
 「だから?」


 黒澤さん大活躍のお話。
 読者に人気があるキャラクターなのは、やっぱり黒澤の性格が朴訥でありながら憎めないところなのかなぁと思います。彼はいろんなことを冷静な第三者的な目で見て、最後にはいろいろなことを考えながらも「だから?」の一言で片づけるような冷たいところはありますが、彼の中には彼の中で、ちゃんと信念があるところが見え隠れするところが魅力的なように思います。
 陽一郎と周造の関係なんかは、できれば短編じゃなくて長編のような長いところであらわしてほしかったなぁ、とも思わないでもないです。まあ、短編で、黒澤と言う第三者の視点でみるからこそ、こうして形が浮き彫りにできたのかもしれませんが、これはちょっともったいないようにも思えたり。二人の心情なんかも想像していくと、なかなか深みが帯びてくるものです。




○フィッシュストーリー
 「届けよ。誰かに
  頼むから」



 出来すぎやろ! っていう突っ込みはなしの方向で。

 まあ、伊坂さんの得意の、別々の人間の行動がそれぞれつながっていくという形ですが、こういうのは余計なこと考えずに読むのが一番ですよねー。とりあえず、瀬川さんかっけー。なんだこのテンプレ正義の味方。
 ここで、曲の空白部分の思いが誰かに届いたわけではないってところが変に現実的ですが、ま、そういうもんでしょうね。人生なんてどんな些細なきっかけでずれるかわかったものじゃない、って思うとすっきりするかも。

 よし。とりあえず、瀬川さんは早くスーパー伊坂大戦に出場するんだ。




○ポテチ
 「塩味も食べてみたら意外に美味しいから」


 普通かなぁ、とか思いながら読んでいたら、最後の最後でやられましたよ。
 なんだろうなぁ。別に、オチが読めなかったわけじゃないんですよ。赤ん坊の入れ替わりの話や双子の話とかで、何となく今村と尾崎は入れ替えられてたんだなぁとはわかってましたし、最後にホームラン打つんだろうってのはわかっていたんですが、まさかの大西の言葉でガツンと来ました。
 ああ、文章で感動できるって、こういうことなんだなぁ、って思った瞬間。
 これほどまでに最後の一文に感銘を受けたのは自分だけなのかもしれませんが、それでも本当にあそこは良かったんですよ。前に大西が「ただ球が遠くに飛ぶだけ」と言っているだけに、余計にそう思う。本編を通して大西に感情移入しているから、最後の最後でやられちゃった感じでした。

 話の問題自体は『重力ピエロ』とかぶるところもあるんですが(ってか、一部登場人物かぶってるし)、やっぱり同じネタでも魅せ方一つでこうも変わるもんなんだなぁと思いました。本当に、伊坂さんは細かいところがうまい。






 そんなわけで、新年一発目の更新でした。
 正直年明け初めの更新どうしようかなぁと思っていたところでこいつを読むことができて良かったなぁと思います。絶賛するまでではないですが、この充実したような感覚があるから、読書はやめられないんですよ。ホント。

スポンサーサイト
COMMENT : 0
TRACKBACK : 0
CATEGRY : 伊坂幸太郎

COMMENT

Comment Form


秘密にする
 

TRACKBACK

TrackBack List

プロフィール

西織

Author:西織
大学に入学を果たしたただの読書好き。

拍手がえしに関してはこちらでご覧ください。
http://blogvote.fc2.com/pickup/emptyreader


年齢:19
誕生日:九月九日
血液型:A型
趣味:読書
夢:作家(前途多難)


主に好きな作家
・西尾維新(番外位)

・奈須きのこ
・辻村深月
・佐藤友哉
・竹宮ゆゆこ

上記の作家の全ての作品を愛しています。

主に好きな漫画家
・児玉樹
・荒井チェリー
・椿いづみ
・福本伸行

漫画の神
・手塚治虫


補足
西尾維新の傑作はきみぼくシリーズだと思って日々を生きています。あのよさをわからない人間が多くて残念に思う。(とくに四作目)
そんな僕は生粋の西尾信者なので、いくらでも語れますし、いくらでも語りつくしてやりますよ。


『空っぽの知識』の別館ですが、よろしくお願いします。
http://tukimaturi.blog89.fc2.com/

初めての方は、カテゴリ内の『未分類』を先に読んでください。



最新記事



最新コメント



最新トラックバック



月別アーカイブ



カテゴリ

未分類 (3)
読書日記 (3)
漫画日記 (32)
漫画の紹介 (3)
浅田次郎 (1)
綾辻行人 (1)
有川浩 (2)
有沢まみず (1)
五十嵐貴久 (1)
伊坂幸太郎 (3)
井上堅二 (2)
歌野晶午 (1)
浦賀和宏 (1)
乙一 (1)
賀東招二 (1)
鎌池和馬 (6)
貴志佑介 (1)
北村薫 (1)
京極夏彦 (2)
桐野夏生 (1)
佐藤友哉 (1)
沢井鯨 (1)
沢村凛 (1)
白河三兎 (1)
新海誠 (1)
鈴木大輔 (1)
竹宮ゆゆこ (2)
多島斗志之 (1)
辻村深月 (5)
土橋真二郎 (1)
中島らも (1)
成田良悟 (15)
西尾維新 (17)
野村美月 (1)
橋本和也 (2)
姫野カオルコ (1)
本多孝好 (2)
円居挽 (1)
道尾秀介 (1)
湊かなえ (2)
武者小路実篤 (1)
望月守宮 (1)
森絵都 (1)
森見登美彦 (1)
薬丸岳 (2)
柳広司 (1)
米澤穂信 (10)
翻訳小説 (2)
日高由香 (1)
越谷オサム (1)



FC2カウンター



検索フォーム



RSSリンクの表示



リンク

このブログをリンクに追加する



ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる



QRコード

QRコード



フリーエリア

西織の最近読んだ本



Copyright © 空っぽの知識(読書日記) All Rights Reserved.
Images from ふるるか Designed by サリイ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。