This Archive : 2009年07月

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『天使のナイフ』 著/薬丸岳  感想

2009.07.28 *Tue
天使のナイフ (講談社文庫)天使のナイフ (講談社文庫)
(2008/08/12)
薬丸 岳

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 「大勢の人間を不幸にしたあんたの罪は軽くない」




 第五十一回江戸川乱歩賞受賞作。
 その評判は方々で聞いていたので、ずいぶん前に購入はしていたのですが、ようやく読了。
 なんで今まで読まなかったのか、とかなり後悔しています。

 もう、これは絶対にお勧めです。
 共感するかどうかとか関係なく、全員に読んでもらいたい。そして、それぞれで自分の考えをちゃんと考えてもらいたい。
 語られていることは陳腐なことですが、それゆえにかなり深い。





 内容ネタバレなしにかける自信がないので、ここから先はネタばれありで。







 この本は、罪を犯した人の更生についての物語です。
 語られている内容は、本当に単純なんですよね。ただ、被害者が加害者を憎む、憎しみの連鎖が止まらない。その連鎖を止めるための一つとして設けられている『少年法』が、余計にその連鎖を強くしている。

 物語の主人公、桧山の視点で物語は進むから、彼の考えに感情移入するのは仕方がないと思います。どうしようもないほど被害者でしかない彼は、ただ加害者を憎み、何もしていないとはずの妻が殺されるという不幸を嘆く。けれども、この立場を途中で逆転させるところがこの小説のすごいところだと思います。
 被害者だったはずが一転して憎しみを受ける加害者の立場に。その時の桧山の感情を推測させる形だったのがまたいい。自分も今まで、被害者の立場として憎しみをずっと持っていただけに、相手の気持ちをむげにすることはできない。けれども、相手の言葉をすべて肯定するわけにもいかない。そのはざまで揺れる中、最後に桧山が、すべてわかった上でも妻を愛していると言ったところが、べたですが印象的です。

 個人的には、少年の更生に、被害者の家族が悪影響を及ぼすとは思えません。っていうか、そんなことしたら罪を罪と認識しなくなるんじゃないでしょうか。
 なんで自分がつかまっているのか。まだ考えが幼いからこそ、そういう事実と少しずつ向き合っていくシステムが必要だと思います。もちろん、被害者の方は怒りを抑えられるわけがないから、ひと悶着起こるかもしれないけれど、それをなくすために被害者の方のカウンセリングもちゃんとやりながら、とか。
 そういうシステムが欠如しているのは、単にその費用が足りないから、というだけじゃないでしょうか。もちろん一般に言われているように、未成年のプライバシーの保護もあるんでしょうけれど、それだけにしてはあんまりにも被害者家族の扱いが不当に思えるんですよね。そりゃあ、これだけがっちりとガードされて守られれば、怒りのぶつけどころのない被害者は復讐もしますって。
 本当の更生ってのは、桧山の妻みたいに、自分の罪と向かい合って、一生かけて償う覚悟をすることなんじゃないかと思います。そのためには、やっぱり被害者家族との接触は必要だと思うんですけどね。(桧山の妻にしても、完全な形での接触はしていないわけですし)


 この小説を読むと、どうしても東野圭吾の『手紙』を思い出しますが、ふたつを比べながら考えるのもまたいいと思います。一方は被害者家族の立場を、一方は加害者家族の立場を描いた作品です。どっちも、結局はどうしようもないという結論を出して、その中で自分たちがどう生きるか、に焦点が当てられますが、そこから学ぶべきものはたくさんあると思います。


 そういえば、この小説の深みをより魅せるのが、ミステリー要素というか、話の構成です。
 どんでん返しだったり、あの万華鏡の話だったりといった伏線回収も凄いですが、それよりも解説で言われた、祥子のトラウマがあったからこそ起きた悲劇というのが、一番ぞくっときました。まさかそこまで計算ずくだったとは。そして、終章で語られる真実が、桧山の物語のひとまずの終わりとしてきれいな形でした。


 もう、文句なしにすごい作品でした。ほんと、それ以外にことばが出てこないわ。本当はもっと言いたいことたくさんあったんですけれど、ただ独語の余韻に浸っているとそういうのが全部どうでもよくなる。
 もちろん、考えさせられるべき所はしっかりと考えるべきですけどね。そういったことを踏まえて、やっぱり誠実に生きるのが一番だよ。ほんと。


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週刊少年漫画 感想

2009.07.26 *Sun


 二週連続であけるわけにはいかないので、とりあえず今週の週刊マンガ簡易感想。



○週刊少年ジャンプ

・ワンピース
 …………
 衝撃的すぎて、もう何も言えん。
 ってか、このネタを今の今まで温めていたところがびっくりだ。大ゴマでここまで衝撃を受けたのは久しぶりだわ。ほんと。


・バクマン
 描くのが正しいという流れはちょっと嫌ですが。
 医者がどうするかだよなー。


・ぬらりひょんの孫
 じーちゃんかっけぇええええええええ!
 じじい状態のじーちゃんもかっこいいな、ほんと。


・べるぜバブ
 古市がひたすらいいキャラだ……。
 ってか男鹿。お前は馬鹿だorz


・めだかボックス
 善吉と阿久根がひたすら可愛い件について。ってか、下手したら溺れるって、お前らにだけは言われたくないと思う。



○週刊少年サンデー

・ハヤテのごとく!
 ごめん。実を言うと、これの感想やるためだけに今日わざわざこの記事書いてるわ。

 アーたん可愛すぎるだろ……。
 ってか、無理しているってのははじめからわかっていたけど、最後のコマの破壊力は異常だわ。作者の本気だ作者の。この作者、普通に恋愛もの描いても行けると思うぜ。ほんと。
 ハヤテの心情もいい感じだしなぁ。ここからどうなるかが本当に楽しみ。個人的には幸せになってほしいけど、それだとナギがなぁ。


・アラタカンガタリ
 カンナギ様がひたすらいいキャラしている件について。もう様付けしないと彼の名前は呼べない! なんでこんな砕けちゃってるの、カンナギ様。
 しかし、やっと気付いたか、コトハ。だったら今までのことを全部謝れ! 革に謝れ! かわいそうだろうが! マジでかわいそうだろうが!(泣)
 ってか、ここまで恋愛方面でかわいそうな少年漫画の主人公も珍しいよな……。
 現実世界の方もいろいろ進んできているので、どんどん楽しみが加速していく。

・はじめてのあく
 同居人が九州筑後出身のコメディー!
 というわけで、夏休み編。
 とりあえず、グッジョブお姉ちゃんと言っておこう。ぶっちゃけうざいだけだけどね☆



○週刊少年マガジン

・はじめの一歩
 ヴォルグが出てきたのが素直にうれしいんだが、ここで出すってことは噛ませ確定だよな……。


・ネギま!
 どうしてラカンさんはこんなに自由でかっこいいんだ……ッ!
 人知れず行われようとしている頂上決戦が楽しみすぎます。


・コードブレーカー
 グレート☆オープン・ザ・マインドwwwww
 なんかここ最近この漫画のギャグ率が上がりまくりだわ。羊コスプレも大爆笑したけどさ。



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『バッカーノ! 特急編』 著/成田良悟  感想

2009.07.24 *Fri
バッカーノ!1931 特急編―The Grand Punk Railroad (電撃文庫)バッカーノ!1931 特急編―The Grand Punk Railroad (電撃文庫)
(2003/09)
成田 良悟

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 「切符を拝見させてください」



 このセリフで爆笑したのは僕だけじゃないはず。

 どうも。お久しぶりの更新です。
 実を言うとこの『バッカーノ』シリーズ、相互リンクを張っている『立読師列伝』のgen9さんから勧められて読み始めたのですが、この特急編でドはまりしました。やべぇよこれおもしれぇよ。っというわけで、これから少しずつ集めていこうかと思います。

 さてさて。このシリーズがどういう話かというと、たくさんの登場人物たちがはしゃぎまわっていたらいつの間にか全部つながっちゃったよ、という群像劇の形をとった物語で、その形式をうまく使った勘違いやら伏線の張り方やらがナイスなのです。
 特に、鈍行編でのあからさまな伏線を、特急編で回収するときは、狙っているとわかっていてもわくわくしました。そのあたりのキャラの魅せ方がうまいと思います。




 では、ここからあとは内容も踏まえて。




 まず、どの登場人物に感情移入するかでずいぶん変わってくると思いますが、でもたいていのエピソードはぐっと来るんですよねぇ。

 鈍行編でいえば、主人公(と言っていいはず)のジャグジーの覚悟がすごかったです。いっつも泣いている彼が、どうしてリーダーとして慕われているのか。その顔面の入れ墨はなんなのか? その理由が明かされたときの興奮は半端ないです。
 『泣かない男』という題名がとってもしっくりくる物語でした。

 鈍行編はほとんどジャグジーの物語でしたが、特急編はそこではられた伏線を回収すべく、完全なる群像劇になっていました。
 錬金術師と、殺し屋ヴィーノと、レイルトレーサー。この三つが誰なのかミスリードされていたのですが、まさかまんま怪しい奴がそれじゃないだろ、と思いながらも、結局誰なのか明かされるまで全然わかりませんでした。それだけに、クレアの登場シーンは本気で燃えましたね。まさかあの殺されたはずの若き車掌だとは……。
 そして、ヴィーノだと思われていた作業着の女の正体に笑いました。いや、無賃乗車って。その心理自体はよくわかるけど、そこに全生命を賭しているところが笑える。そして、上でもあげたセリフをクレアが言った時のあの絶叫は……もうげらげら笑いましたね!

 しかし、レイルトレーサーの無双っぷりはすごかったですねぇ。あの最強っぷりを誇っていたラッドさんが一発ですからね。ってか、ラッドさん、やっていることは一番最悪なことなのに、オチが可哀そうすぎて全体的に悲惨なキャラだよな……。
 チェスにしても、かなり腹グロで凶悪なのに、クレアに襲われたおかげで不憫にしか見えない。まあ、それが改心(?)のきっかけになったんだし、いいとは思うけれど。でも電車から地面に肉を押しつけて削り取る、って殺し方はひどいよ……。

 そういえば、シャーネってどうなったんだっけ、と鈍行編では思ったのですが、なるほど、だから途中退場しちゃったわけですね。しかし、出会って惚れて即告白、って、クレアさん節操無さ過ぎです。まあ、それに応えるシャーネも大外分だと思うけれど。さてさて、巨大な都市で待ち合わせをした二人は、出会うことができるのだろうか?

 あと、レイチェルについても、ちゃんと決着がついたのでいい感じでした。あそこで泣きだすのは反則だなぁ。もう、鈍行編では謎めいた女、って感じだったのに、特急編では可愛すぎて仕方がないぜ。最後の最後に切符を買えるだけ買うとか、もうね。また登場しないかなぁ。


 んーと、これで全部語ったはず……いや、まだアイザックとミリアについてやってない。
 この二人大好きなんですよ。うん、忘れてたくせに、とか言うかもしれないですけど、でもいいキャラしているじゃないですか。自然と幸福を運んでくる二人。こういうキャラって貴重だよなぁ、と思います。見ず知らずの少年のために身を呈して助けるとか、彼らだからいやみに感じないんですよね。



 さてさて。これで全部のはず。
 こういう群像劇系の話は結構好きなんですが、ライトノベルのレーベルでここまでのクオリティを出す作品があるとは思いもしなかったので、素直にびっくりしています。
 これからもちょくちょく集めていきたいなぁ、とか思いながら、今日はこの辺で。

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『ふちなしのかがみ』 著/辻村深月  感想

2009.07.19 *Sun
ふちなしのかがみふちなしのかがみ
(2009/07/01)
辻村 深月

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 その向こう側は、決して覗いてはいけない――。




 へい。というわけで、六月末に出たばかりの、辻村深月の新作。
 といっても、どうも内容は全部『野生時代』で連載されていたものを単行本にまとめただけのようですが。まあ、読んでない身としては関係ないです。

 とりあえず、扱いとしては辻村深月版ホラー&サスペンス小説、ってことでいいかな。
 サスペンスだったら『こどもたちは夜と遊ぶ』でもやっていたけれど、あれはホラー要素はなかったからなぁ。あんまホラー読んだことない僕が言うのもなんですが、真面目にホラー小説やっていたと思います。
 ただ、何だろう。ちょっとおとなしすぎるかなぁ、という感じも受けました。短編集なので、好みはそれぞれ分かれるとは思いますが、これといった大きな魅力がある、って感じじゃないんですよね。『太陽の坐る場所』の時にも思ったけれど、地味な物語を描くのはうまくなったけど、いまいち強く惹きつける魅力が減った気がする。こんなこと思うのは僕だけかもしれないですが。

 まあ、とはいっても面白くないわけではないので、ちょっとしたホラーが好きな人にはお勧め。それこそ暗がりから誰か覗き込んでるんじゃないかと妄想するのが好きなプチホラー好きな人はいいんじゃないかな。(襲われるのが好きな人は物足りないと思うけれど)




 ここからは、内容踏まえてそれぞれの感想。



○踊り場の花子

 話のオチだったり流れだったりは好きなんですが、いかんせんちょっと長い。もうちょっとコンパクトに行った方が衝撃が強かったかもなぁ、と思います。
 特に、職員室でタバコを吸うのは誰?ってところですでに犯人はわかりきっているんだから、そこから引き延ばすのはどうかなぁ、とか思いながら読んでいました。
 ただ、ラストは一気に突き抜けた感があります。無限階段。先生のおびえている様子がじかに伝わってくるようでよかったです。



○ぶらんこをこぐ足

 ちょっとよくわからなかった話。そもそも、誰が誰なのかを理解するのに時間がかかって、要するにどこが決め手なのか分からず、雲に巻かれた気分です。
 まあ、単純に読解しようとする意志が弱かっただけなんですが。途中でつまんねー、ってなってしまったんですよね……。多視点から事件を見る、っていうのは好きな方ですけど、それが現在過去と入り乱れてどこに飛ぶのやら全く分からんからちょっと萎えました。ってか、だれか解説して、マジで。



○おとうさん、したいがあるよ

 解説してほしい話、その二。
 んーと、とりあえず、主人公の見ている世界で、現実と幻想がごっちゃになっちゃったってのはわかるんですけど、結局それで何がやりたかったんだろう。死体が示すものもよくわからなかったし……。
 こういう、隠喩されたものを解き明かすのってあんまり得意じゃないので素直にお手上げです。わからん、誰か解説してください、ほんと。



○ふちなしのかがみ

 一番面白かった。
 ってか、やっとオチが理解できた話。
 この話の完成度は高いなー、と思いました。オチが理解できたからそう思えるんですが、なるほどなるほど。そうくるかー、って感じでしたね。
 辻村さんの名前トリックはもう嫌ってほど使い繰り返されていますが、それが久しぶりにうまくはまった気がします。まあ、はじめはそのトリックの所為でワケワカメだったんですが、それを理解して読み返すとなんか深みがずいぶん違うように思える。
 とりあえず、この話が読めただけでも買った価値はあったかな、と信者の僕は思いました。



○八月の天変地異

 ちょいいい話。
 辻村さんらしい、といえば辻村さんらしい話で、なんかちょっと安心しました。あんまり好きなタイプの話ではないんですが、不気味な話が続いた後にこういうのが来ると何となくほっとできる。
 しかし、小学生書くのうまくなったなぁ、ほんと。『ロードムービー』のときもうまいと思ったけれど、『ぼくのメジャースプーン』の秀才小学生がウソみたいに、違和感がないです。
 話自体はあんまり斬新、というわけじゃないですけど、辻村さんの筆力が読ませてくれるなぁ、と思いました。




 とりあえず、以上。
 うーん、しかし、本当に普通以外の感想が出てこないのが苦しいかも。
 正直僕の中では、『凍りのクジラ』→『ぼくのメジャースプーン』→『スロウハイツの神様』とウナギ登りに面白さが増していった印象が強すぎるので、『ロードムービー』以降はちょっと物足りない気もするんですよね。文章とかは格段にうまくなっていると思うんですけれど。
 次の長篇では、ぜひスロウハイツ並みのものを期待したいです。

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『デンデラ』 著/佐藤友哉  感想

2009.07.16 *Thu
デンデラデンデラ
(2009/06)
佐藤 友哉

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 「おい、大目標を立てろよ。お前の大目標はなんだ? お前は何になりたいんだ?」



 佐藤友哉、新生!

 いやあ、面白かった。
 佐藤友哉の本で、躊躇なしに誰かに進めることができる本は初めてかもしれない。まあ、もちろんユヤタン成分も多分に含まれるので、あうあわないはあると思いますが、細かい点に目をつむれば普通にエンターテイメントしていてびっくりしました。
 普段の佐藤友哉は、怒りの感情を前に出しまくって物語自体を勢いで引きずりまわすような、ハッキリ言って万人受けはしないものを書いていると思うのですが、この作品はちゃんと一つの物語として、一定以上の水準を保ってなお、彼の主張もエッセンスとして加えられているところがすごいと思います。

 物語の舞台は、『姥捨て山』という民話をモチーフとした世界。村のおきてで、七十歳を過ぎたらお山参りと称して子が自らの親を山に捨ててこなければならない、というその伝承を、佐藤友哉なりにアレンジした物語。
 今年お山参りになった斉藤カユは、お山でその命が終わるのを静かに待っていた。が、次に目を覚ました時、そこは死の世界ではなく、老婆だけで構成された村、デンデラだった――


 お勧めです。はい。もし読んでない人で興味があったら、ぜひ手に取ってください。千七百円とお高いですが、それだけの分量は十分あります。






 それでは、ここからは内容を踏まえた感想。






 しかし、この物語は注目すべき要素が多くて、どこから語っていいのやらわからなくなります。
 老婆やデンデラが表す社会風刺的な見方や、各々の思想のぶつかり合い、閉鎖された社会の中での政治、隠された過去の解明、弱者と強者の戦い、などなど。
 一つ一つは、そこまで掘り下げられているわけではないので主軸になるとまでは言えないのですが、そういった要素が複雑に絡まり合うことで、ちょっとしたカオス状態になっているのは確か。その混沌とした物語がちゃんと成立しているところが、面白いと思います。本当に、帯のあおり文通り、「あらゆるジャンルがカオスとなって描き出す、現代の「普通小説」


 いろんな要素に振り回される様子を、斉藤カユという視点から見ていった場合のシュールさがおもしろいと思いました。彼女は、最初から最後まで事件の渦中に入っていながら、自然とどこか傍観しているところがあるように思えるんですよね。それは、彼女がまだデンデラにやってきて一番日が浅い、というのがあるのでしょうが。
 考えて悩むよりも、行動しながら模索していく、斉藤カユの姿勢は、それまで自己主張を持っていなかったということを鑑みるととても自然に感じて、彼女がどういう決断を最後に下すのかはとくに気になりました。最終的に、彼女は自分の中で踏ん切りをつけて村に下りていきますが、それが意味することを想像するとなんだか切なくも温かい感じがします。
 本当に、最後の文章はよかったな、と思います。いろいろと深読みしようとすればできるのでしょうけれど、その情感を思い浮かべるだけで十分な気がしました。



 他の要素のついて。

 羆との戦いは、マジで殺伐としていて面白かったです。老婆ばっかりでかなうのか? とか思ったりもしたのですが、この世界の老婆は足腰がしっかりしているので大丈夫でした。まあ、そんな細かいところ気にしていたら何にも面白くはないですけど。
 途中に羆からの視点を入れたのもよかったな、と思います。双方の『生きる意志』がぶつかり合うところが見ものでした。どちらも必死ですからね。気分的にはやっぱりデンデラ側を応援したくなるのですが、羆の方も生き残る理由をしっかり持たせることで、その必死さが伝わってきました。

 っていうか、この世界観でラノベみたいな戦いを雰囲気崩さずにやったところは本当に凄いと思う。鏡家サーガでもこれくらい違和感なくバトルやれればいいんですけどね。


 そして、羆の事件が収まった後に、伝染病疑惑を持ってきたのは本当に構成がうまい。
 サスペンスとしての魅せ方が良かったんですよね。佐藤友哉ってこんなに構成うまい作家だっけ?って、読み終わった後に思わず思ってしまったくらいです。
 そしてその伝染病も、実は食傷だった、っていうどんでん返しもうまい。ちゃんと伏線の張ってありましたし、無理がなくすとんと結果が落ちてきました。おいおいユヤタン、いったいどうしたんだ。あなたがこんなにきれいに物語を紡ぐなんて。


 いや、ほんと。こうしてたまに傑作を書いてくれるから、佐藤友哉は侮れない。



 本当はもうちょっといいたことがあったような気がしますけれど、あんまりやってもぐだぐだになるのでこの辺で。

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週刊少年漫画 感想

2009.07.12 *Sun


 もはやぎりぎりに週刊少年漫画の感想をやるのが恒例になってきた気がする……。


○週刊少年ジャンプ

・ワンピース
 おお、バギーがかっこいい。
 しかし、冷静に考えたらバギーってすごい立場だったんだなぁ。それでなんで弱い、ってクロコダイルとかが思っているのが笑えました。
 彼には、ミスターサタン張りの集客力を誇ってほしいものです。


・ブリーチ
 ……ここまでくるのが、本当に長かった。
 ぶっちゃけ、隊長VS十刃なんて、一人一話ないし二話で終わるような戦いを何話もやるからこうなるんだよ……そして、たぶんこれからもそうなんだろうなぁ。
 終わるのか、この漫画。


・バクマン
 平○さんがひたすたおもしろすぎる。
 ごめん、この漫画もう平○さんしかめにはいらねえわww


・べるぜバブ
 あー。やばい。そろそろ人物把握が難しくなってきた。
 美輪って誰だっけ?


・ぬらりひょんの孫
 しっかりと羽衣狐を撃退。
 しかし、懸念材料の割にはあっさりと勝ったけれど、バトル自体はかなり壮絶でした。じーちゃんかっけーよ。
 この頃は花開院家とも仲が良かったのね。


・めだかボックス
 どんどん駄目になっていく阿久根が見てて楽しい。
 さて、これでこの漫画も、少年漫画らしく大会編に入ったわけだが、十週打ち切りは消えたけれどどこまで盛り上げられるかなぁ。掲載順位は、危ないといえば危ないけれど早急にダメージになるような順位とも思えないし。
 しかし、善吉と不知火の中の良さが気持ち悪いというのは気になっていただけに回りもそう思っていて面白かった。


・銀魂
 なんで、人気投票の発表で、こんなに笑えるんだwww
 サイボーグ空知さん最高です。


・サイレン
 アゲハのパワーアップが純粋に嬉しい。
 ちゃんとアイデアバトルになっているからなぁ。しかし、あの円盤は飛ばせないのが惜しい(苦笑)



○週刊少年サンデー

・結界師
 あー。非常に燃える展開ではあるし、正直良守が本気になってくれたことはすごくうれしいんだが……遅いよ。
 うーん、表紙の良守がなんか腹立つ。無敵ならとっとと敵片づけやがれ。
 ひたすら周りに振り回されるだけの影宮が不憫な今日この頃でした。


・ハヤテのごとく
 正直、ラストの一こまの破壊力は想像を絶するものでした。
 うわ、こう来るか、って感じでしたね。さすがOPがhollowに変わっただけはある。前半の馬鹿騒ぎすらもこのために用意したんじゃないかと思うくらいのカタルシス。つーか、素でびっくりしたわ。
 さてさて、ヒナギクとアテネの関係は……


・神のみぞ知るセカイ
 ……ノーラのバディが思った以上にうざくて使えない気が。
 この漫画では貴重な男性キャラクターなのだから、もっとしゃきっとしてほしい。神みたいに。

 さてさて、内容の方は、桂馬に危険が及ぶということでなんとか関係を切らずにすみましたが……これ、思った以上に長くなるのかな? いつもは四話で区切るけど、そうは見えないし。
 少しずつパターンが変わってきているところはやっぱりうまいなぁ、と思います。


・アラタカンガタリ
 どんどん丸くなっていくカンナギ様に萌え
 ナグがそういう判断を下したこと自体はそこまで意外じゃなかったんですが、それでもやっぱりきついよなぁ。
 こうやって次第に革の背負うものが多くなっていくところが、少年漫画らしくもあり、またなまなましくもあっていいとは思うけれど。


・はじめてのあく
 同居人が胸と押しに弱いコメディー!
 というわけで、今回はキョーコ可愛いよキョーコだけどジローお前はもっと可愛いぜといういつものパターンです。
 ……んー。どうしてジローがこんなに可愛いんだ。(しかもそれしか感想が出てこないところがすさまじい)



○週刊少年マガジン

・我間乱
 どんどん面白くなっていくこの漫画。来週からの逆転が純粋に楽しみです。
 しかし、あの攻撃力最大の弓矢は、正直弓自体を傷つけそうで怖いんですが……。


・エデンの檻
 こーちゃんは結局何がしたいんだ……。
 あんな状況で、みんなのリーダーとして立っているアキラを見たら、発狂しかねないんじゃないかな……。
 過去話でのアキラのガキ大将っぷりがそれらしくて笑った。


・GTO
 本気でゴキブリだな、こいつ……
 なんとなくラストのあの軍勢を見ても、鬼塚が負ける姿が思い浮かばないところがすごいんだけど……さすがに今回はまずいか?

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『とある魔術の禁書目録18』 著/鎌池和馬  感想

2009.07.10 *Fri
とある魔術の禁書目録 18 (電撃文庫 か 12-20)とある魔術の禁書目録 18 (電撃文庫 か 12-20)
(2009/07/10)
鎌池 和馬

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 「さあ、群雄割拠たる国民総選挙のはじまりだ!」



 とりあえず、表紙の騎士とお姫様にテンションあがりまくりで読みました。

 うわあ、もうウィリアムかっこよすぎ。この巻は全体的にみんなかっこよかったけど、こいつは半端ないぜ。これまでの禁書のキャラの中で一番好きかも知れん。
 ヴィリアンも、覚悟を決めてかなりいい王女様になっちゃってるし。このお似合いすぎる二人に燃えと萌えで悶えまくりな巻でした。


 内容の方は、序盤は前回の引きの続き。ウィリアム=オルウェルVS騎士団長。
 騎士団長の強さがあまりにもチートすぎて途中はもう笑うしかなかったんですが……いや、マジでカーテナの力借りてイギリス本土で戦う限り、こいつに敵いないんじゃないか? それこそ、今回はウィリアムが紙一重で勝ったけど、次回も同じようにいくわけがないし。まあ、ウィリアムの方は二重聖人の力失って普通の魔術使えないってのがあったから、もし万全の状態だったらわからないかもしれないけど。
 しかし、序盤のこの二人の戦い。ページ数で50くらいだけど、かなりの濃度がありました。文章自体はそんなにうまくないんですが、その分勢いがある。チートに対してチートを重ねて、急展開をやらかしてくれるからかなり迫力がありました。
 決着のつけ方も、ちゃんと術式の穴を作って形にしていたのがやっぱりいいです。単純にでかい技ぶつけて勝つんじゃなくて、地味なところで勝つからこそ、ウィリアムと騎士団長、二人の実力の証明にもなりますし。

 もう、正直一番初めにクライマックスみたいなバトルやったから、あとはとっととおわらせちゃってよー、とか思ったのですが、それもカーテナを振るうキャーリサが強すぎて、ほんとどうすんだよ、ってなってしまった。
 次元を切る、という、これまたわかりづらい能力がでてきましたが、三次元を問答無用で切ることができるってことは、要するになんだって切れるんだろうなー、なんて単純解釈しました。実際、高劇の余波すらも切ったり、四次元切って三次元の壁作ったりしてたみたいだし。

 そのキャーリサの本当の狙いがわかった時は、本気でこの人すげぇ人だな、と思いました。うーん、それが英国にとっていいと思ってやっているにしても、目的のために手段を選らばなすぎる。自己犠牲もここまで来たらすがすがしいですね。また、途中の非情さが、その覚悟を裏付けるようで余計にリアルにも思えるんですけど。

 しかし、そんな小細工を全部吹き飛ばすかのようなエリザードの思い切った行動には、度肝ぬかされましたけど。
 キャーリサも十分王としての風格があるように思えましたが、エリザードのそれはやっぱり格が違う。すべてを丸投げにする、じゃなくて、すべてを受け入れる覚悟。たとえ自分の行動によってどんなことが起きようとも、しっかりと受け止めてやるという懐の深さ。その姿には後光すら指すように思えます。
 ってか、この婆さんマジでテンションたけぇ……

 国民総選挙によるお祭り騒ぎは、読んでいるだけでわくわくしてきましたね。もうこの巻だけでどれだけのチートが行われたかわからないですが、ここまで極まったものはもはや笑うしかありません。前代未聞のクーデターを終了させるにふさわしい盛り上がりでした。



 他に気になったことと言えば、あまりにも周りがチートすぎてもはやでてきても負ける姿しか思い浮かばなくなった神裂とか、とうとう戦いについていけなくなった上条さんや、やっとヒロインに返り咲いたかと思ったインデックスさんが数ページで脱落とか。

 最後の最後でまた物語がひっくり返されたのは、引きがよすぎました。ああ、早く次読みたい。次は一端覧祭かと思っていたけれど、インデックスあんな状態で文化祭ネタに突入なんかできるわけないし、ここはまっすぐにフィアンマとぶつかり合うことになるんだろうか。

 そういえば、ここでミーシャをからめてきたのにはびっくりした。ちょくちょく出てきていたのはこのときのためか。ひょうひょうとしたキャラだったワシリーサが最後の最後で死亡フラグながらもかっこよくなったのにはふるえました。その果てに、逃げ延びたミーシャを助けた黄色い服の女ですけど……えっと、ヴェントでいいんですかね? なんか自信ない。濃い化粧とピアスでたぶんそうだと思うけれど。



 できれば早いところ科学側のエピソードとつながってほしいなぁ。土御門とか一方通行が何をしているかも気になるし。ほとんど世界大戦みたいな図式になってきているから、やっぱりそっち関連の仕事しているはずだろうから、次の巻あたりで出てきてくれないかなぁ。



 そんなこんなで、満足満足でした。


 PS
 冷静に考えたら、今回の上条さんの怪我は半端ない件について。
 ……お前、入院して体力回復しないとまずいだろ。

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『太陽の坐る場所』 著/辻村深月  感想

2009.07.05 *Sun
太陽の坐る場所太陽の坐る場所
(2008/12)
辻村 深月

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 「太陽はどこにあっても明るいのよ」



 やっと読めた、辻村深月さんの作品。

 読み終わって、なんだかもやもやしたものを解消するためにネット徘徊して感想を読んでいくと、見事に評価が真っ二つだったのに笑いました。ああ、なるほどな、って感じです。

 とりあえず自分なりに噛み砕いて考えた場合、この小説は一部の、それもかなり限定された層にはとても共感を得ると思いますが、他の層の人から見たら、「何言ってんの?」ってことが多くあると思います。そのある層ってのは、学生時代を終えて十年前後経って、社会に進出して慣れ始めた人たち。それより上の世代は、もうそんな青いこと覚えてないよ、って言うでしょうし、それより下の世代は、まだ大人になる実感を持てないために共感しきれない。
 僕自身も、まだ学生の身分なのでちょっと想像に頼るところが多かったのですが、そういう目で見たら非常によくできているな、と思います。人をねたむ気持ち、自分をよく見せたい気持ちってのは誰にでもあると思いますが、20代後半という限られた年代におけるその感情を描ききっているのは秀逸。

 感想を漁っている段階で、人間性が描かれていないという意見と、ここの人物の心情描写がうまいという意見の両方が出てきているのも、たぶんその所為だと思います。良くも悪くも、読む人を選ぶ。あと、単純にミステリ的な仕掛けやどんでん返しの面白さだけを求める人にはあまり勧められないです。
 あと、冷静に考えたら、この小説を連作短編と取るか長篇と取るかでも全然印象が変わってきます。いい読み方は連作短編としてとらえる方ですが。




 そんなわけで、ここからは内容を踏まえた感想。






 まあ、ぶっちゃけて言いますと、僕はあんま感情移入できませんでした。
 そりゃあね、まだ高校卒業して一年もたたない人間にその感情を持てって言う方が無理な話ですけどね。作者の辻村さんが28歳の時に書いた小説なので、やっぱり自分のことをある程度投影している部分もあるんだと思います。

 人に対するねたみやそねみ。自分はもっといいはずだ。自分はもっと成功していなきゃならないんだ。

 そういった思いも、確かに持ってはいますが、一番強く感じるのはやっぱり二十代の後半くらいになってからなのかもな、と思いました。まだ僕くらいの年齢だったら、これから先の未来、何にだってなれる可能性がありますが、二十代の後半ともなるとほとんど立場は決まってきてしまっているころでしょうし。諦めかけて、でもあきらめられない。そういったもどかしさを感じさせるところもあるように思います。


 先ほど言ったように、この小説を連作短編として読んだ方がいいと思ったのは、それぞれの登場人物の気持ちの鬱積を、きちんと書ききっているからです。
 まあ、読めばわかると思いますが、それぞれ章がある登場人物に関しては、ちゃんとオチがついている。キョウコという名の太陽を中心に動き回る登場人物たちですが、それぞれ自分たちの中でひとつ峠を越えています。
 僕としては、聡美の章と紗江子の章が、いいなぁ、と思います。紗江子の章は一番わかりやすい形でありますが、聡美の章はあとでじわじわくる。自分のしたいことで成功してやる、っていう気概は僕も少なからず持っているので共感できたのでしょうが。

 というわけで、それぞれ分けて感想を。


・出席番号二十二番
 成功したものと成功できない自分。そこに対する劣等感を描いた話。といったところだろうか。
 最後に聡美がキョウコからかけられた言葉。自分が立てなかったステージにいる彼女からかけられたあの言葉は、嬉しい、とも悔しい、ともつかない、ひどく切ない思いだと思います。ただ、それで聡美が何か一つ自分の中で区切りをつけられるんじゃないか、と思えるのです。


・出席番号一番
 女としてみてもらえないことに劣等感を覚え、女らしい同性に対して嫉妬する話。ってところだろうか。
 紗江子の気持は、想像では分かるけど、男の僕では完全に理解できるわけではありません。ただ、どんどん真崎に覚えれていく姿は、一種の狂気も感じさせる気がする。女って怖いな、と思えるひとつめ。
 最後の貴恵が本当に救いです。っていうか、このラストは本当によかった。友情オチという、ベタで非現実なものかもしれませんが、そういう救いがあってもいいと思う。


・出席番号二十七番
 女としてのプライドを守ることにすべてをかける女の話。と言っていいかな。
 まあ、一番嫌な人間の話ですね。
 とりあえず、ここまで嫌な女を、等身大に描けたところがやっぱりうまい。嫌な人間といっても、やっぱり心の中ではいろいろ悩んだりもするんだよ、ってところをちゃんと描いていたので、リアリティを感じるな、と思います。あとで読み返したら一番読み応えがあるかもしれないです。
 こいつだけは最後まで救いがないんですよね。まあ、救われるほど弱い人間じゃない、ってのが理由の一つかもしれませんが。嫌なやつでもちゃんと自分なりに努力しているところが見れるので、嫌な人もできればもう一度読み返してみてほしいかも。


・出席番号二番
 唯一男視点の話。表すとしたら、器用貧乏な男が子供から大人に完全に孵化するところ、って感じがしました。
 いろいろ暗躍するけれど、あんまいいところがない彼。高校時代からずっと運と縁のなさがもう泣けてくるな……。
 この作品での立ち位置も、どっちかというとキョウコをつなげるための最後の綱みたいな感じに見えてしまいます。というか、それ以上の解釈ができません。読み込みが足りないだけかもしれないですが。


・出席番号十七番
 過去の因縁と決着をつける話。でいいと思います。
 人によって、この部分が蛇足に感じる人もいれば、絶対に必要だと思う人もいると思います。個人的には、あった方が話のしまりがよくなるとは思いますが。一応伏線というか、各登場人物の勘違いが判明したりもしますし。
 二人のキョウコの、成功と失敗。その対比としてはあまりうまく描けているかは謎ですが、二人とも相手にわだかまりが残っているところがなんだか良かったなぁ、と思います。二人が対話することで、それが少しだけ落ち着いた。完全になくなったわけではないでしょうが、ひとつの決着がついたのはよかったと思います。




 ちなみに、今回のメインの叙述である二人のキョウコに関しては、まあ騙されはしましたけど、そこまで驚きは少なかったなぁ。やっぱいい加減慣れてきているんだと思います。辻村さん、毎回名前ネタ持ってくるし。
 あと、個人的に一番初めに話だけ出てきた女流シナリオライターが嬉しかった。ああ、環頑張ってんだなぁ。


 というわけで、こんなところです。

 僕も就職して、数年たったらもう一度読み返したいな、と思う本です。

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週刊少年漫画 感想

2009.07.05 *Sun

 ぎりぎりですが、今週の少年漫画感想。


○週刊少年ジャンプ

・ワンピース
 ここでこういう展開を持ってくるとは全く想像していなかったので、マジでふるえました。うわあ、べたっていえばべただけど、これ以上ないほどすごい友情だ。
 ここに至って、ボンちゃんが生き残れると思える要素が低いのもまた衝撃を大きくするよな……。あのマゼランだぜ? 本気で勝てる気がしないよ。
 最後のボンクレーの「本望!」ってセリフがすごくかっこよかった。そうか無事でいてくれ……。


・ぬらりひょんの孫
 何この少年漫画の王道。
 なんだかリクオパートの時よりも少年漫画なんですが、このじーちゃん。かっこよすぎて目が離せん。ここまでストレートな主人公ってのもまた珍しいからかもしれない。
 しかし、花開院家のあの人が、万に一つも勝てないと言っている以上、まだ何かあるんだろうなぁ。


・銀魂
 空知さんがノリノリで書いているのだけはわかった。
 ……しかし、ほんっとギャグがおもしれぇ。もう展開がカオスすぎて突っ込み切れない状態なのに、それでも新八にしっかり突っ込みをさせてるところがさすがだ……。


・べるぜバブ
 MK5がマジで空気読まないことに笑いました。
 しかし、みごとなすれ違いっぷりだよな……。葵が一人暴走しているってのもあるけれど、男鹿がそもそも相手の言うことを聞く気がないってのも理由に拍車をかけているところがおもしろい。


・めだかボックス
 西尾維新全開。
 やっぱ西尾さん、ギャグのときのノリノリ感がすごい。そして、対象とするメディアにぴったりのネタをよく用意できるな……。今回の話、小説でやったらかなり難しいけど、マンガみたいなとんとん拍子で進むテンポでは異様なほど効果的ですからね。
 とりあえず、いやいやいいながらついてくるツンデレ諫早先輩が最高です。あと、阿久根が一気に垢ぬけていいキャラになったなぁ……。


・黒子のバスケ
 素人考えだと、緑間が撃ったシュートをいくらロングパス&ダンクで決められても、スリーポイントシュートのおかげで一点差がどんどんついて行くように思うんですが……。


・バクマン
 ……順位が。
 原稿落としたのか、マジでアンケートが悪かったのかが気になるところ。ってか、今週のジャンプは軒並み順位が入り乱れてるから、正直先がわからなくなってしまった。
 内容の方は、もう平丸さん最高です。リアル富樫先生乙
 あと、中井・蒼樹ペアもなかなかいい感じのチームワークになってきているようで。蒼樹さんが「漫画に関してだけは」と念を押しているところは笑いましたが。
 福田さんのところは、アシスタントとのやり取りがおもしろい。ああいう職場は、たとえどんな風になっても面白おかしくやって行けるだろうな。(本人たちは真剣、ってところも重要)



○週刊少年サンデー

・結界師
 ……とりあえず、兄弟喧嘩はよそでやってくれとマジで思う。
 しかし、正守パートが長すぎて良守たちがどうなっているのか忘れ始めてきた(いや、ダメだろ)


・ハヤテのごとく
 薫センセー(泣)
 ちょっと待って、あそこまで行ってほとんどいいムードにならないとか、拷問でしょ。ってか気づけよ桂先生! 押しが足りないってのもわかるけどさ!
 ひたすら甘酸っぱい大人たちの物語でした。
 ちなみに、来週からの展開を、作者は「歌がアタラクシアからhollowに変わる感じ」と言っていましたが……。まさかFateネタも通じるとは、この作者、守備範囲広すぎだぜ。(まあ、Fateは有名ってのもあるかもしれないが)


・神のみぞ知るセカイ
 なんかやっと桂馬のライバルキャラっぽいのが出てきましたが…………正直ダサい。
 まあ、まだ一こましか出てきていませんが。どうなるかは来週に期待ですね。


・はじめてのあく
 あり、今回いつものあの煽り文がない……。

 内容は、もはやメインヒロインがジローにしか見えない内容に。おい作者、これ以上ジローに萌えさせて何をするつもりだ!


・アラタカンガタリ
 ナルまで絵でしたか……。
 徹頭徹尾救いのない話だったな。これ、下手したら立ち直れないレベルにも思えるけど。


webサンデー
・ハイド&クローサー
 最終回。
 ここまで追ってきてよかったと思える最終回でした。ああ、すがすがしい。
 最後のクローサーみたいにナイスガイになった春瓶のインパクトがやっぱりいい。こうして受けつがれていく、ってのはやっぱり見ていていいものがあるなぁ。
 あと、各キャラのその後が、ジョジョの二部ラストみたいで面白かった。
 なにはともあれ、お疲れ様でした。



○週刊少年マガジン

・GTO
 やっぱこの漫画、単純にノリがおもしろいわ。
 べただけどそれがいい。たまにこうして過去の作品の番外編やるってのもいいもんだなぁ。


・我間乱
 最高すぎる展開だ。
 森の中。遠隔から狙われる敵に対してどう対応するか。もうこういう展開大好きなので、早く次が読みたい。足貫かれちゃってるけど、どうするんだろうか。





 今週、サンデーを読んだ時になんか物足りないと思ってしまった……。
 やっぱ魔王面白かったよなぁ。あれほど次の週が待ち遠しい漫画も珍しい。
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『生まれ来る子供たちのために』 著/浦賀和宏  感想

2009.07.03 *Fri
生まれ来る子供たちのために (講談社ノベルス)生まれ来る子供たちのために (講談社ノベルス)
(2008/11/07)
浦賀 和宏

商品詳細を見る



 「ごめんよ――ごめんよ、純菜」



 はい、というわけで、松浦純菜シリーズなのか八木剛士シリーズなのかいまいちはっきりしないこのシリーズ、最終巻。今さら読み終わりました。

 このシリーズ、七作目までは集めていたんですけど、八作目から馴染みの本屋にも置かなくなってしまいまして、それから集められなかったのです。まあ、その時期はちょうど受験もあったりして、遠くの本屋に行く時間もなかったので、そのまま放置していたのですが。そんなわけで、完結からしばらくたちましたが、図書館で予約してようやく読めました。

 読み終わって思ったことは、とりあえず終始一貫して、八木剛士が同じ鬱積を吐きまくるだけの小説だったところがすごかったな、と思います。IS2計画だとか偽王だとかいろいろSF要素も出てきますが、んなことの説明を完全に無視して、ただ八木剛士の愚痴を永遠と吐き続ける。そのどす黒い、下手すれば読むのさえも嫌になるような鬱積に、不思議と惹かれてしまう小説でした。
 そんな風に思った理由はたぶん、多かれ少なかれ、そういった思いを自分も感じているからなんだろうな、とは思います。まあ、さすがに八木剛士ほど不遇なポジションにはいませんが、誰だって世の中に対する怒りや恨みは少なからず持っているでしょうし。それこそ、現実に不満を持っていない人間が読んだら、「なにうだうだ悩んでんだ、こいつ?」になりますが、少しでも共感できるのなら、八木剛士の恨みの深さに身を震わせるんじゃないでしょうか。

 正直、万人にはお勧めしないですが、ただ自分に自信が持てないオタク野郎がうだうだと愚痴を述べるだけの小説が好きな人は、一度手に取ってみるといいと思います。(第一巻は、『松浦純菜の静かな世界』です)



 まあ、そんなこんなでこっから先は内容も踏まえて。




 最終巻と、その前の『地球人類最後の事件』は、連続して読んだのですが、『地球人類最後の事件』の方の感想をちょっとだけ言うと、ただひたすらエロいな、おい。
 まあ、このシリーズ全部通して言えることですけど、エロ描写が直接的なんだよなぁ。三作目の『上手なミステリの書き方』なんて、とんでもないことやってくれたし。それと同等以上だったのが『地久人類最後の事件』だったのですが、あー、正直に言うと、小田渚の自慰シーンで不覚にもドキドキしちゃいました。うん、あれはやばいって。最後に「いっちゃうよ、八木くん」とかやばすぎだって。ああ、ごめんなさいごめんなさいそんな目で見ないでだって本当に官能描写やばかったんだって。
 そんな感じで始まって、『地球人類』の方は、叙述を使って八木剛士が外人スナイパーと坂本ハルとの因縁に決着をつける話。この辺の叙述の仕方は、このシリーズが当初ミステリだったことをすごく意識しているよなぁ、と思います。八木剛士の初体験がまさかマリアじゃなかったとか、そこが一番驚きですけどね。
 そして、最後のどんでん返し、と言うべきか。八木剛士が変わってしまったことを突き付けるのが、純菜強姦。あー、このシーンはマジで顔が引きつりましたね。ドキドキとかそんなの二の次。やっちまったよこいつ、ってのが一番にきました。今まで何度もすれ違ってきた二人だけど、この一撃が純粋に剛士が悪いし。何が地球人類最後の事件なのかさっぱりですが、最終巻を踏まえて、この二人をアダムとイブって考えたら、まあ確かにそうなのかな、と思ったりします。うーん、これ以上の解釈は思いつかん。


 そんでもって、最終巻。
 この巻は、なんていうか総集編って感じでした。
 はじめの章で出てきた姉弟はいったい何だったのか全然わからんのですが、あれですかね、格差社会の形をわかりやすくおいたんですかね。結局剛士の暴力に蹂躙されるだけだった二人がとてつもなくかわいそうなんですが、ちょっとくらい救いを置いてやってもよかったんじゃ……。
 南部の章は、なんつーかこっちもこっちでいろいろ抱えてたんだなぁ、って感じです。二巻以降、あんま目立った主張はしていなかったけど、腹の中ではやっぱりいろいろ考えていたのか。そして、その果てに剛士に告白しちゃうのですが、うーん、これって、なんだか友情を恋愛感情に勘違いしちゃっているようにも思えてしまうんですよね。ある程度以上親しくなった、という経験がほとんどなかったから、それをとりちがえてしまったみたいな。あんな極限状態だったから、とも思えるのですが、結局剛士を狼狽させるだけの結果だったのがかわいそう。そんでもって、そのあと死亡とか……。
 剛士の話は、最初の美穂の章の方は、またまたいつも通りのうだうだした愚痴から開始ですが、なんだか妙に安心できてしまうのはいいのやら悪いのやら。こちらも今までの話のダイジェスト版で、本来ならうざいだけなのに、なんだか状況整理がしっかりできて、すとんと落ちてくる。この辺の書き方も、やっぱり浦賀さんはうまいなぁ、と思ったりします。南部の章の次の剛士本人の章では、それが一変して突然SF化しちゃったりしましたが(笑)

 あのSF要素も、よくわからなかったところの一つです。うーん、話が壮大すぎる割に、剛士の感情が小さすぎて……(苦笑)
 こういうのも、セカイ系って言ってしまえばそれまでなんでしょうが、とにかくすべては剛士が純菜を想っていたって一点に収束するところは、たとえそれがゆがんでいてもちょっと切ない感じに見えた。

 まあ、ぶっちゃけ剛士がやらかしたことはとんでもなかったので、二度と純菜の思いは取り戻せないんですが……。

 しかし、最後の最後がヤンデレ心中とか、穏やかじゃないなぁ。純菜がそうしたくなる気持ちもわからなくもないからこそ、剛士にナイフを突き立てるシーンは狂気を感じてすごかった。まあ、これも結局何がしたかったのかわからなかったのですがorz


 そんな風に衝撃的な事件の後で、終章は一変。第一巻の最後のシーンに飛びましたが、そこで物語の根底を覆すような事実が。……ってか、おい、事故の所為だっていうのがもっと早くわかったら、その醜い顔ってのの意味がよくわかったのに……。
 最後の余韻はよかったですが、結局剛士は周りに振り回されてるだけのかわいそうなやつだったのか、という風にも思えて、ちょっと切なかったです。



 そんなわけで、シリーズ最終巻でした。
 まあ、面白かったっちゃ面白かったですが、絶対に万人には勧められん……。少なくとも、男がこれを女に勧めるのは無理ですよね……。

 全体的にわからないことだらけでしたが、一番わからないのはマリアが剛士を慕っていた理由だったり。うん、命救ってもらったってだけにしては、いくらなんでも慕いすぎだろ、と思ったり。まあ、その辺は自分で飲み込むしかないですね。

 というわけで、全九巻。おつかれです。


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プロフィール

西織

Author:西織
大学に入学を果たしたただの読書好き。

拍手がえしに関してはこちらでご覧ください。
http://blogvote.fc2.com/pickup/emptyreader


年齢:19
誕生日:九月九日
血液型:A型
趣味:読書
夢:作家(前途多難)


主に好きな作家
・西尾維新(番外位)

・奈須きのこ
・辻村深月
・佐藤友哉
・竹宮ゆゆこ

上記の作家の全ての作品を愛しています。

主に好きな漫画家
・児玉樹
・荒井チェリー
・椿いづみ
・福本伸行

漫画の神
・手塚治虫


補足
西尾維新の傑作はきみぼくシリーズだと思って日々を生きています。あのよさをわからない人間が多くて残念に思う。(とくに四作目)
そんな僕は生粋の西尾信者なので、いくらでも語れますし、いくらでも語りつくしてやりますよ。


『空っぽの知識』の別館ですが、よろしくお願いします。
http://tukimaturi.blog89.fc2.com/

初めての方は、カテゴリ内の『未分類』を先に読んでください。



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