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『生まれ来る子供たちのために』 著/浦賀和宏  感想

2009.07.03 *Fri
生まれ来る子供たちのために (講談社ノベルス)生まれ来る子供たちのために (講談社ノベルス)
(2008/11/07)
浦賀 和宏

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 「ごめんよ――ごめんよ、純菜」



 はい、というわけで、松浦純菜シリーズなのか八木剛士シリーズなのかいまいちはっきりしないこのシリーズ、最終巻。今さら読み終わりました。

 このシリーズ、七作目までは集めていたんですけど、八作目から馴染みの本屋にも置かなくなってしまいまして、それから集められなかったのです。まあ、その時期はちょうど受験もあったりして、遠くの本屋に行く時間もなかったので、そのまま放置していたのですが。そんなわけで、完結からしばらくたちましたが、図書館で予約してようやく読めました。

 読み終わって思ったことは、とりあえず終始一貫して、八木剛士が同じ鬱積を吐きまくるだけの小説だったところがすごかったな、と思います。IS2計画だとか偽王だとかいろいろSF要素も出てきますが、んなことの説明を完全に無視して、ただ八木剛士の愚痴を永遠と吐き続ける。そのどす黒い、下手すれば読むのさえも嫌になるような鬱積に、不思議と惹かれてしまう小説でした。
 そんな風に思った理由はたぶん、多かれ少なかれ、そういった思いを自分も感じているからなんだろうな、とは思います。まあ、さすがに八木剛士ほど不遇なポジションにはいませんが、誰だって世の中に対する怒りや恨みは少なからず持っているでしょうし。それこそ、現実に不満を持っていない人間が読んだら、「なにうだうだ悩んでんだ、こいつ?」になりますが、少しでも共感できるのなら、八木剛士の恨みの深さに身を震わせるんじゃないでしょうか。

 正直、万人にはお勧めしないですが、ただ自分に自信が持てないオタク野郎がうだうだと愚痴を述べるだけの小説が好きな人は、一度手に取ってみるといいと思います。(第一巻は、『松浦純菜の静かな世界』です)



 まあ、そんなこんなでこっから先は内容も踏まえて。




 最終巻と、その前の『地球人類最後の事件』は、連続して読んだのですが、『地球人類最後の事件』の方の感想をちょっとだけ言うと、ただひたすらエロいな、おい。
 まあ、このシリーズ全部通して言えることですけど、エロ描写が直接的なんだよなぁ。三作目の『上手なミステリの書き方』なんて、とんでもないことやってくれたし。それと同等以上だったのが『地久人類最後の事件』だったのですが、あー、正直に言うと、小田渚の自慰シーンで不覚にもドキドキしちゃいました。うん、あれはやばいって。最後に「いっちゃうよ、八木くん」とかやばすぎだって。ああ、ごめんなさいごめんなさいそんな目で見ないでだって本当に官能描写やばかったんだって。
 そんな感じで始まって、『地球人類』の方は、叙述を使って八木剛士が外人スナイパーと坂本ハルとの因縁に決着をつける話。この辺の叙述の仕方は、このシリーズが当初ミステリだったことをすごく意識しているよなぁ、と思います。八木剛士の初体験がまさかマリアじゃなかったとか、そこが一番驚きですけどね。
 そして、最後のどんでん返し、と言うべきか。八木剛士が変わってしまったことを突き付けるのが、純菜強姦。あー、このシーンはマジで顔が引きつりましたね。ドキドキとかそんなの二の次。やっちまったよこいつ、ってのが一番にきました。今まで何度もすれ違ってきた二人だけど、この一撃が純粋に剛士が悪いし。何が地球人類最後の事件なのかさっぱりですが、最終巻を踏まえて、この二人をアダムとイブって考えたら、まあ確かにそうなのかな、と思ったりします。うーん、これ以上の解釈は思いつかん。


 そんでもって、最終巻。
 この巻は、なんていうか総集編って感じでした。
 はじめの章で出てきた姉弟はいったい何だったのか全然わからんのですが、あれですかね、格差社会の形をわかりやすくおいたんですかね。結局剛士の暴力に蹂躙されるだけだった二人がとてつもなくかわいそうなんですが、ちょっとくらい救いを置いてやってもよかったんじゃ……。
 南部の章は、なんつーかこっちもこっちでいろいろ抱えてたんだなぁ、って感じです。二巻以降、あんま目立った主張はしていなかったけど、腹の中ではやっぱりいろいろ考えていたのか。そして、その果てに剛士に告白しちゃうのですが、うーん、これって、なんだか友情を恋愛感情に勘違いしちゃっているようにも思えてしまうんですよね。ある程度以上親しくなった、という経験がほとんどなかったから、それをとりちがえてしまったみたいな。あんな極限状態だったから、とも思えるのですが、結局剛士を狼狽させるだけの結果だったのがかわいそう。そんでもって、そのあと死亡とか……。
 剛士の話は、最初の美穂の章の方は、またまたいつも通りのうだうだした愚痴から開始ですが、なんだか妙に安心できてしまうのはいいのやら悪いのやら。こちらも今までの話のダイジェスト版で、本来ならうざいだけなのに、なんだか状況整理がしっかりできて、すとんと落ちてくる。この辺の書き方も、やっぱり浦賀さんはうまいなぁ、と思ったりします。南部の章の次の剛士本人の章では、それが一変して突然SF化しちゃったりしましたが(笑)

 あのSF要素も、よくわからなかったところの一つです。うーん、話が壮大すぎる割に、剛士の感情が小さすぎて……(苦笑)
 こういうのも、セカイ系って言ってしまえばそれまでなんでしょうが、とにかくすべては剛士が純菜を想っていたって一点に収束するところは、たとえそれがゆがんでいてもちょっと切ない感じに見えた。

 まあ、ぶっちゃけ剛士がやらかしたことはとんでもなかったので、二度と純菜の思いは取り戻せないんですが……。

 しかし、最後の最後がヤンデレ心中とか、穏やかじゃないなぁ。純菜がそうしたくなる気持ちもわからなくもないからこそ、剛士にナイフを突き立てるシーンは狂気を感じてすごかった。まあ、これも結局何がしたかったのかわからなかったのですがorz


 そんな風に衝撃的な事件の後で、終章は一変。第一巻の最後のシーンに飛びましたが、そこで物語の根底を覆すような事実が。……ってか、おい、事故の所為だっていうのがもっと早くわかったら、その醜い顔ってのの意味がよくわかったのに……。
 最後の余韻はよかったですが、結局剛士は周りに振り回されてるだけのかわいそうなやつだったのか、という風にも思えて、ちょっと切なかったです。



 そんなわけで、シリーズ最終巻でした。
 まあ、面白かったっちゃ面白かったですが、絶対に万人には勧められん……。少なくとも、男がこれを女に勧めるのは無理ですよね……。

 全体的にわからないことだらけでしたが、一番わからないのはマリアが剛士を慕っていた理由だったり。うん、命救ってもらったってだけにしては、いくらなんでも慕いすぎだろ、と思ったり。まあ、その辺は自分で飲み込むしかないですね。

 というわけで、全九巻。おつかれです。


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プロフィール

西織

Author:西織
大学に入学を果たしたただの読書好き。

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年齢:19
誕生日:九月九日
血液型:A型
趣味:読書
夢:作家(前途多難)


主に好きな作家
・西尾維新(番外位)

・奈須きのこ
・辻村深月
・佐藤友哉
・竹宮ゆゆこ

上記の作家の全ての作品を愛しています。

主に好きな漫画家
・児玉樹
・荒井チェリー
・椿いづみ
・福本伸行

漫画の神
・手塚治虫


補足
西尾維新の傑作はきみぼくシリーズだと思って日々を生きています。あのよさをわからない人間が多くて残念に思う。(とくに四作目)
そんな僕は生粋の西尾信者なので、いくらでも語れますし、いくらでも語りつくしてやりますよ。


『空っぽの知識』の別館ですが、よろしくお願いします。
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