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『殺戮ゲームの館上・下』 著/土橋真二郎

2011.01.08 *Sat
殺戮ゲームの館〈上〉 (メディアワークス文庫)殺戮ゲームの館〈上〉 (メディアワークス文庫)
(2010/03)
土橋 真二郎

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殺戮ゲームの館〈下〉 (メディアワークス文庫)殺戮ゲームの館〈下〉 (メディアワークス文庫)
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 「……私は魔物じゃないです」





 初メディアワークス文庫。今まで手を伸ばしかねていたんですが、古本屋で見つけて衝動的に。
 土橋さんの作品は『扉の外』と『ツァラトゥストラへの階段』は既読。どちらも暗い感情を交えた心理戦が頭と胸をキリキリ切り詰める感じで面白かったと思っていたんですが、その辺は本作でも見られますね。
 クローズドサークルもので、犯人当てと言うよりは生き残りに重点を置いた感じかな。ミステリ的な要素と言うよりはゲーム的な要素の方が強い感じ。米澤穂信さんの『インシテミル』に似ている感じがありますが、ミステリ面ではインシテミルの方が面白いにしても、サスペンスものとしてみたら断然こっちの方が好みです。何より、閉じ込められた全員が顔見知りと言うのがエグイ。
 二回目はオチとか流れを知っている分そうでもないでしょうが、初読が面白い作品。これはこれで面白い形だと思います。

 それにしても土橋さんは地味に可愛い女キャラ書いてくるよなー。藍ちゃんとか藍さんとか藍様とか。いや、自分でもなんでこんなにツボなのか分からないのだ。







 ではでは、ここから下はネタバレありの感想。当たり前ですが犯人と真相に触れているので未読の方はバック。











 とりあえず一番初めにこれを言うのもなんだけど、犯人自体は意外じゃなくても動機とかそういうのが判明した時の納得が半端なかった。これはうまい。
 その場しのぎの最善を行う、っていうのは誰だって経験があると思いますが、それって大局的に見たらやっぱり首絞めていたりするってのをうまくあらわしていたように思う。合理的に判断したわけじゃなくてその場を最小の被害で逃れたいっていう感情。とくに四日目は、亜実が斬魔刀を持っているため本当ならば自分より前を選ぶのは危険なのに、それでも自分の大切な人を殺すことはないと思って選択した。たぶん、本当ならここで亜実に当たって自爆した方が彼にとって幸せだったんだろうなーと思うと、なんだかやるせない。(まして、ここで殺してしまったのが彼に思いを寄せていると思われた恵美なのだから皮肉だ)

 まあ、とはいえこの犯人当てはすべてが終わった後に分析しないと分からないものですけどね。いや、っていうかどうかんがえても途中での推理は推測以上にはならないだろう。裏切り者の件もあるけど、圧倒的に情報が不足すぎて。そういう意味で、やっぱこれはミステリと言うよりはゲームなんだよな。
 ってか、自分は普通に亜実が犯人だと思ってた。根拠もなくそんなこと思っていたもんだから完全に小泉から視点が外れていたんだけれど、おかげでエピローグが新鮮に読めたなー。いや、ほんと亜実裏切るって最後まで信じてたもんww。実際は違ったわけですが、ホントにか弱い女の子のままだったんだな……。最後の選択をするときの亜実の福永に言葉は、「こんなときに何言ってんだ?」と思いつつ、こんな時だからこそ本音が出たんだろうなと思った。読者としてはこの事件の間の福永しか見ていないわけだけど、もし日常生活でもここまで冷酷でないにしろ、福永がそのままだったとしたら、確かに苦しいだろうと思う。女ってめんどくせーなとか思いながらも、でもそういう風に恋愛に酔うようなことが『普通』で当たり前の感情なんだって思うし。(まあ、普通に付き合う相手を間違えたとしか言いようがない)


 それにしても、やっぱり疑心暗鬼の状態を描くのがうまいなーというのが全体の感想です。犯人とかそういうのはちょっと後から「なるほど」ってなる感じで、やはり見どころとしては魔物探しの時の自己アピールと疑い。話が進むにつれてそれが濃く深くなっていくわけだけど、序盤はまだ高梨藍っていうキャラクターのおかげでまだマシなんです。彼女のキャラがちょっと作中のキャラの中で飛び出すぎている所為で醜い争いが見えにくいのですが、彼女が退場してからはほんとに泥仕合と言った感じ。その辺になるとキャラクターも少なくなって個性が立ってくるしね。
 でも、やっぱり一番きつかったのは四日目の井戸かな。あそこでの藍の猛攻は些細な伏線がつながっていく感じで結構燃えたんだけど、それ以上に息苦しい感じが強かった。いや、ほんと話がどう転ぶかすべて藍のさじ加減一つだし、最後まで福永残っているし、井戸から抜け出して行く人が少なくなって疑いが薄い人間が少ないしと……。読み返してみるとそうでもないんですが、初読のあのはらはら感は癖になる。そうだよ。土橋さんってそういう作家だったよなーと再認識した感じ。他人の非を暴くたびに自分の非も暴かれているような感覚がなんともいえないです。


 全体的な感想としてはこんな感じかな―。なんだか久しぶりに熱中して読んだ気がするけど、こう物語の中に没頭した後に、息苦しくなってふっと息継ぎしたらなんであんなに苦しかったのかわからない感じ。こういうのも、読ませる力があるんだと思います。


 さて。では最後に。高梨藍について。
 いや、もうこの作品であと語ることっつったら藍様のことしかないじゃないですか。とりあえず、自分的には主人公を慕っている後輩って時点ですでに満点レベルのキャラクターなのに、それに加えて機械的な少女とか! 感情の操作が完璧ってところもさながら、その感情の使いどころが自分のためと言うよりは場を操作するためってところが素晴らしい。あれだよなー、理性的な女性って魅力的だよなー。腹黒いけど性格いい子って素晴らしいよなー。
 そんでもって四日目の夜の猛攻の格好よさは語るまでもなく、そのあとの洗面所での告白とかドキドキもんやで。また、その次の日のやり玉に挙げられたときの対応が。いや、演技だと分かっててもあの反応はツボる。あのときはめちゃくちゃスッとしたからなー。そんであとは手紙だろー。あなたの藍よりとか、お前萌え殺すきか! やべぇ演技だと分かってんのに来る。絶対将来悪女だぜ。福永、まだ彼女が可愛い今のうちに取りこんどけ!
 それにしても、彼女のキャラクターの所為でほかの十人があまりにも目立たないのは問題だよな……。



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プロフィール

西織

Author:西織
大学に入学を果たしたただの読書好き。

拍手がえしに関してはこちらでご覧ください。
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年齢:19
誕生日:九月九日
血液型:A型
趣味:読書
夢:作家(前途多難)


主に好きな作家
・西尾維新(番外位)

・奈須きのこ
・辻村深月
・佐藤友哉
・竹宮ゆゆこ

上記の作家の全ての作品を愛しています。

主に好きな漫画家
・児玉樹
・荒井チェリー
・椿いづみ
・福本伸行

漫画の神
・手塚治虫


補足
西尾維新の傑作はきみぼくシリーズだと思って日々を生きています。あのよさをわからない人間が多くて残念に思う。(とくに四作目)
そんな僕は生粋の西尾信者なので、いくらでも語れますし、いくらでも語りつくしてやりますよ。


『空っぽの知識』の別館ですが、よろしくお願いします。
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