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『ストーリー・セラー』 著/有川浩

2010.09.29 *Wed
ストーリー・セラーストーリー・セラー
(2010/08/20)
有川 浩

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 「どこまでだと思います?」




 もはや月一ペースくらいの更新になっていて申し訳ないです。うん、読んだものはいくつかあるんだけどね。なかなか書く気になれないと言いますか。このままじゃ一生書かないかもしれないので無理やりに一冊。

 というわけで、有川浩のストーリー・セラーです。もともとは同名の雑誌に掲載されたもので、それに修正、さらにsideBを書き下ろしで単行本と相成りました。掲載雑誌の趣向として、複数の作家に競作させるというコンセプトの中、もうあなたがナンバーワンですと言わんばかりの破壊力を持ってかっさらっていった作品が遂に単行本ということで、一度読んでいるにも関わらずsideAですらも最初から読みましたよ。


 とりあえず簡単に感想を言うと、有川浩の悪いところもあるけれどいいところがぎっしり詰まった物語、という感じです。個人的に有川さんの作品は、ベタ甘もいいけど、えぐってくるような辛辣さがあるほうが面白いと思うので、特にsideAは雑誌掲載時から大好きでした。






 ではでは、ここから下はネタバレありの感想。








○SideA
 こっちの感想は主に雑誌掲載時の感想とかぶる部分があるんですが、とにかくベタな話が勢いで押し切られる感じの物語です。

 特に自分が有川浩を見直したのがこれでして、親族のドロドロとした問題をこういう風に表すか!と寒気がする思いでした。さすがにここまでひどい父親はなかなかいないとはおもいますが、居てもおかしくないな、と思わせてしまうような迫力。この辺は雑誌のStorySeller2の方に掲載された別作品でさらに昇華されている部分でもあるんですが。いやはや、有川浩、ただのラブコメ書くだけの人じゃないな、と真剣に思いなおした話です。
 あと、彼女が狂っていく描写もなかなか。こういうのをかけるからこそ、有川さんは作家として一定の地位を確立しているんだと思います。

 そして、何時も通りのベタ甘な要素も入っていると。ただ悶えるというよりは気恥ずかしいような要素の方が多いように思いますね。その辺が有川浩のいいところでもあり悪いところでもあると思うんですが。最後の『あなたがすき』の連打にしても、物語への入り込み具合で180度感想が変わってくる部分だと思う。

 ちなみに、単行本版での『あなたがすき』連打は、できればページを考えてほしかったかな……。あれは次にページをめくったら……っていうのがいいと思うので。そういった意味でちょっと残念だったかな。




○SideB
 さて、こっちは書き下ろし。
 最初1ページ目ですべてを台無しにするような会話がされてて「ちょww」とか思ったんですけど、それがちゃんと後半に効いてきてよかったなぁと思います。っていうかあの会話は単体で見ると、マジで台無しにしか見えん……。

 とりあえず話としては、二人の出会いとかその辺が、小説らしい出会いでありながら、惹かれあい方は妙にリアルなところがやっぱり好み。っていうか、実際近くに自分がファンの小説家がいたりしたら、自分も質問攻めにするだろうなぁ。そしてしゃべりまくった挙句にハッと我に返るという。しかし、彼の場合は随分と自制がきいているというかなんというか。ちょっと彼に関しては人間が出来過ぎているかなぁ、と思わないでもない。

 事故の後、話が二転三転するところが見どころというか、すなおにうまいなぁと思いました。単純に救われるでもなく、単に失ってしまうでもなく、結果を示さないまま逆夢を夢見続ける。この読後感が何とも言えなくていいんですよ。
 あれですね。泣けはしないけれど、すっと胸に落ちてくる話。そういう風に僕は思います。内容としては泣かせようとするようなエピソードではあるんですが、物語が『彼』と『彼女』の二人の内側で完結しているので、どちらかというとその姿を遠くから眺めている感じがするんです。そのあたり、sideAにしても同じなんですけど、キャラクターに名前をつけずにただ『彼』と『彼女』にしたのは、特定の何かに感情移入するんじゃなくて、ただ淡々と二人の物語を見てほしかったんじゃないかなぁ、とちょっと考えたりしました。





 そんなわけで、ストーリーセラー。女流作家とその夫の物語二編。ごちそうさまです。

 出来ることなら次はヒトモドキを単行本化してほしいなー、とか希望を言ってみたり。いや、あっちはぶっちゃけ感動要素零の鬱物語な上に今回みたいなsideBなんて真似は難しいだろうけど、あれ何気に好きなんですよ。人間の感情というか恐ろしさを書くときの有川さんが個人的には一番すごいと思う。そんなこんなで、今回はここまで。





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CATEGRY : 有川浩

『フリーター、家を買う』 著/有川浩

2010.05.02 *Sun
フリーター、家を買う。フリーター、家を買う。
(2009/08)
有川 浩

商品詳細を見る




 「母さん死ぬな――」



 刊行された時から気になっていたのですが、先日ブックオフで見つけたので購入。
 ああ、やっぱり有川さんは面白いなぁ、と思うような話でした。引きこむような力強さではなく、堅実な面白さって感じ。それはやっぱり常識とか知識的な基盤がしっかりしているからなんだろうなぁ。






 ではでは、ネタバレありの感想を。







 序盤のお姉さまが最高でした。
 やばい。僕には姉萌え属性はなかったはずだ。けど亜矢子お姉さまはホントよかった。ってか武家の男どもが最悪すぎただけなんだが。しっかし、父親に啖呵切るお姉さまのカッコいいことかっこいいこと。(そしてそのあと泣きだすのとかね。もうあの展開のおかげで一気に物語に入り込めましたよ)

 しかし、母ちゃんがマジで可哀そう……。んー、つか、この話って、結構の人間の痛いとこ突いていると思う。みんな、お母さんをないがしろにしていないかどうか、今一度自分を振り返ってみようね! ってかうちの母さんは大丈夫かな……。
 まあ、さすがに武さんちの男二人ほど雑な扱いしている家庭はほとんどないと信じたいですけどね。フリーター時代の誠治は本当にひどい。

 そんな最悪な半分ニートなりかけの男が一念発起してがんばる物語。主人公が最悪のままだったら嫌だなぁとか思っていたらちゃんとすぐにがんばり始めたのでよかったです。(ってか、むしろ後半は頼れる男すぎるww)

 ほんと、就活ネタは時事ネタってこともあるけど、きついんだよ……。僕もあと一年後にはその海に投げ出されると思うとね、もう遠い目をしてしまうっていうか……。誠治はちゃんと成功しているけど、その成功にはそれ相応の積み重ねがあったんだってのはちゃんと描写されていたので、自分もがんばらなきゃなぁと思います。


 それはそうと、あとがきの話によると、この話はウェブ連載で、テーマは『新しい一日』と『オフィスと仕事』だったらしいですが、なんというテーマ詐欺。
 ってか、新しい一日って……この小説の場合、お母さんが壊れた日じゃん……。まあ、そこから一歩を踏み出していくという意味では本当に新しい一日ですが、なんというか冗談がきつい。
 オフィスと仕事の方も、ほんと後半にしか出ないですしね。これでもう少しお仕事関係が長かったら、真奈美との関係ももっと掘り下げられたかもなぁとか思うけれど、まあその辺は豊川視点の終章で補完としましょうか。しかし、豊川はほんといいキャラしてるよな。これくらい世渡り上手だったらどこ行っても大丈夫そうな気がする。


 そんなわけで、心の痛いところを突かれるようで、ちゃんと輝く明日に向かうような希望のあるお話でした。


 そして、お姉さま最高(←ここに終始する気がする)

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プロフィール

西織

Author:西織
大学に入学を果たしたただの読書好き。

拍手がえしに関してはこちらでご覧ください。
http://blogvote.fc2.com/pickup/emptyreader


年齢:19
誕生日:九月九日
血液型:A型
趣味:読書
夢:作家(前途多難)


主に好きな作家
・西尾維新(番外位)

・奈須きのこ
・辻村深月
・佐藤友哉
・竹宮ゆゆこ

上記の作家の全ての作品を愛しています。

主に好きな漫画家
・児玉樹
・荒井チェリー
・椿いづみ
・福本伸行

漫画の神
・手塚治虫


補足
西尾維新の傑作はきみぼくシリーズだと思って日々を生きています。あのよさをわからない人間が多くて残念に思う。(とくに四作目)
そんな僕は生粋の西尾信者なので、いくらでも語れますし、いくらでも語りつくしてやりますよ。


『空っぽの知識』の別館ですが、よろしくお願いします。
http://tukimaturi.blog89.fc2.com/

初めての方は、カテゴリ内の『未分類』を先に読んでください。



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